紋切り型のファッション広告を一蹴する、イメージの魔力に満ちたグラフィック ファッション広告、それらの多くは退屈だ。美しいモデルが身にまとう服や雑貨、影のないライティング、シンプルなブランド名、それらの紋切り型の要素で、巷の多くのファッション広告は作られている。特にラグジュアリーブランドの広告は、それらの約束事が顕著だろう。即座にどのブランドかはわかるが、再度見返したくなるようなサムシングはない。 だがこのパリの二人組、M/M(Paris)(以下、エムエムパリスと表記)の手がけるものは毛色がかなり異なる。ミカエル・アムザラグとマティアス・オグスティニアックからなるエムエムパリスが手がけるファッション広告またはレコードジャケットは、一瞥しただけで即座に理解出来るようなインスタントな表現ではない。それらは口当たりのいい解答ではなく、美しい疑問符だ。絵のようなタイポグラフィー、様々な写真のコラージ