「思いっきりサッカーがしたい」 東京に住む小さな子どもたちの、切実な願いです。 その願いをかなえようと、導き出した手段が「議会への陳情」。 子どもたちがみずから考え、奮闘した300日。その日々を再現しました。 (戸叶直宏) 突然のサッカー禁止令 僕は、板橋区に住む悠真(ゆうま)。地元の公立小学校に通う6年生だ。サッカーが大好きで、週末は所属しているサッカークラブの練習に参加している。平日の放課後も、同級生の栞人(かんと)や大誠(たいせい)たちと、8人くらいでサッカーをして遊ぶのが日課だった。 そう、あの日までは…。 ことし2月12日。下校したあと、いつもと同じようにサッカーボールを持って家を出た。自転車で向かったのは、旧板橋第三小学校。僕が生まれる前(平成14年)に廃校になった小学校のグラウンドだ。約束していなくても、ここに行けば誰かしらいる。毎日、飽きもせずに暗くなるまでボールを蹴るのが