北朝鮮が核・ミサイル開発を加速させている。安倍晋三首相は9月21日、国連総会で金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を「独裁者」と批判し、国際社会に圧力強化を呼びかけた。だが圧力で事態を打破できるだろうか。元「週刊現代」編集長の元木昌彦氏は、「北朝鮮情報はこの男に聞け」と一人の記者を名指しする。独裁国家の思惑をつかむために、有効な情報源とは――。 北からの手紙「わが国に来ませんか」 1985年5月、私は北朝鮮・平壌にいた。 その年の初め東京の朝鮮総聯から「わが国に来ませんか」と誘われたからだ。たった一人で1ヵ月という条件はきつかったが、見てみたいという気持ちのほうが勝った。 モスクワ経由で入った平壌では数々のカルチャーショックを受けが、ここではそのことを書く紙幅はない。パスポートを取り上げられ、言葉もできない人間には、通訳にいわれるがまま動くしかなかった。 さまざまな楽器を見事に弾きこ