2022年夏から大きく注目を集めているイラスト生成AI。その機能の一つに「i2i」(image to image)という手法がある。これは参考画像を入力すると、AIが似た構図のイラストを生成する機能だ。使い方次第では便利だが、定期的に「i2i機能を使って“トレパク”をしている人がいる」としてTwitterなどで問題になっている。 この問題について、骨董通り法律事務所(東京都港区)の代表を務める福井健策弁護士が1月25日、Twitterで「ユーザーが元絵を知っている場合は、著作権侵害が成立する可能性が高い」との見解を示した。判断のポイントは、元作品への依拠の有無だという。福井弁護士に詳細を聞いた。 イラスト生成AIユーザーも問題視する「i2i」 i2i機能を使うと、自分で書いた落書きやラフスケッチ、資料写真などを入力してイラストを生成できる。アイデアを膨らませたり、作画作業の補助として使った
3DアバターのVRMのスクショアプリ「VRM Posing Desktop」を使いVRMで画像(左)を作成後、Stable DiffusionのWebUIでimg2imgを行ってイラスト風の画像(右)を生成したもの。(画像:筆者作成) 画像生成AIの「img2img」が議論を起こしています。 img2imgとは、画像生成AIの機能の1つ「Image-to-Image」の略称。画像を読み込ませて、テキストで指定するプロンプトと合わせて画像生成すると、元となる画像のイメージを踏襲した画像を作ってくれるという機能です。 たとえば3DアバターのVRMデータを読み込ませるだけでアニメ風の絵が生成されます。パラメーターの設定次第ですが、元のキャラクターの特徴もそのまま踏襲させることが可能です。元となる画像を用意することで、同じ顔つきのやポーズの画像が生成を容易にすることができるわけですね。 この原理を
0.はじめに 2001年7月、任天堂が裁判所に対してとある訴訟を起こしました。 相手先はファミ通の発売元であるエンターブレインと、有限会社ティルナノーグ。目的はとある一本のゲームの販売差し止めと、賠償金支払い。そのゲームソフトの名前は「ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記」。 これが有名なエムブレムサーガ裁判の発端です。これは一部任天堂が勝訴しつつもかつ、「クリエイターが別会社で似たような作風の作品をつくっても問題がない」という判例が下ったことで有名です。ある種、ゲームの歴史のターニングポイントともいえる裁判であります。 そんな裁判でありますが、実際に判決文を読んだことがある人はどれだけいるでしょうか? あんまりいないと思います。私もようやく読みました。必死になって。大変でした。 この記事はエムブレムサーガ裁判の流れを追いつつ、どのようなやりとりがあり、具体的にどこが認められ、どこが認められ
「見解が異なる」と中谷側は意見書公開長野県立美術館(長野市)は、野外に常設展示している美術家・中谷芙二子の作品《霧の彫刻》について「作家の意向に反した商業目的利用があった」として謝罪と対応を記した文書を2022年12月28日付でホームページに掲載した。併せて、弁護士や現代美術の専門家でつくる第三者委員会が経緯を調査した報告書を公開。それに対し、利用に異議を申し立てていた中谷側は1月16日、報告書は「当方の見解と異なる点もある」として意見書を発表した。 《霧の彫刻》(正式名《霧の彫刻#47610- Dynamic Earth Series Ⅰ-》)は、中谷が2021年に同館がリニューアルオープンした際にコミッションワークとして制作した。同館本館と東山魁夷館をつなぐ「水辺テラス」に設置した装置から一日数回霧が発生し、その日の気温や風向により様々に変化。鑑賞者は気象の影響を霧を介して体感すること
アーサー・コナン・ドイルの短編集「シャーロック・ホームズの事件簿」やバージニア・ウルフの「灯台へ」などの1927年の小説の著作権が1月1日に失効し、許可や費用なしで自由に利用できるようになった。米国の著作権法は、1923年から1977年の間に発行された著作物に発表後95年の保護期間を与えているが、この他にも数多くの小説や映画、楽曲がパブリックドメインに移行した。 小説では、ハーバート・アズベリーの「ギャング・オブ・ニューヨーク」、アガサ・クリスティの「ビッグ4」、ウィリアム・フォークナーの「モスキート」、アーネスト・ヘミングウェイの「男だけの世界」などが挙げられる。 映画では、アラン・クロスランド監督の「ジャズ・シンガー」や、第1回アカデミー賞優秀作品賞を受賞したサイレント映画の「つばさ(Wings)」、フランク・ボーゼイギ監督の「第七天国」、フリッツ・ラング監督の「メトロポリス」などが含
「”海賊版”賠償額の上乗せを 著作権法改正案、来年提出へ 文化審」、「著作権侵害の賠償額上乗せ 文化審報告素案、法改正へ」というニュースがありました。いずれも「漫画村」等に代表される大規模な著作権侵害において、侵害者のやり得(損害賠償金を払っても儲けが出ている状態)を避けるために、著作権法の損害賠償の算定規定を改正する予定であるというお話です。 上記記事だけだと具体的な内容はよくわかりませんが、文化庁のサイトに載っている元資料の17ページ目から23ページ目に書かれています。 現在の著作権法における損害額の算定規定(114条)は大雑把に言うと以下のようになっています。 1項:個数×本来なら権利者が得られていた利益(ただし、権利者の販売能力の範囲内) 2項:侵害者が得ている利益(推定) 3項:個数×ライセンス料相当額 これを、1項と3項を併せて請求できるようにする(今までは併せて請求できるかど
画像生成AIに関する疑問と言えば、気になるのが著作権を中心とした法律関連の問題。今回はAIを活用する上で、アーティストが気になる疑問・質問の数々をSTORIA(ストーリア)法律事務所の柿沼太一弁護士に解説してもらった。 ※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 293(2023年1月号)からの転載となります。 AIによる生成物と著作権の問題を考える STORIA法律事務所の柿沼太一と申します。スタートアップ法務やデータ・AI法務を多く取り扱っています。2022年秋、MidjourneyやStable Diffusionなどの画像生成AIが話題になりました。わたしもブログで「Midjourney、Stable Diffusion、mimicなどの画像自動生成AIと著作権」という記事を公開したところ、たくさんの反響をいただきました。 特にクリエイター・アーティス
ラノベ古事記・古事記FUN!!@小野寺優 @Are_Hieda 古事記が好きすぎて、ラノベ風に脳内変換!!KADOKAWAより『ラノベ古事記』1〜3巻好評発売中!!(🎨 #らのこじあーと)掲載:朝日新聞『天声人語』・産経新聞・日経MJ等。ライターさんと共に綴る古事記FUN!!(kojiki.co/fun/)も更新中✨ 中の人☞ @Yu_Onoderara kojiki.co ラノベ古事記・古事記FUN!!@小野寺優 @Are_Hieda 二次創作の被害について、どうかTwitterの叡智をお貸しください。 私の作品、ラノベ古事記のキャラクターが無断でNFTにされ販売されてしまいました。しかし先方が法人化されており、さらにNFT専門の弁護士さんと共同で活動をされているため、勝てる気がしません。そもそもNFTが何かも分からず→ pic.twitter.com/ghlQb0zinZ 2023-
2023年1月1日に、1927年以降の著作物がアメリカでパブリックドメインとなり、コピーや共有が自由になります。アーサー・コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」短編集、ドイツのSF映画「メトロポリス」やアルフレッド・ヒッチコック監督の処女作、ルイ・アームストロングやファッツ・ウォーラーの楽曲など、2023年1月1日にパブリックドメインに移行する作品の一部をデューク大学法学部が紹介しています。 Public Domain Day 2023 | Duke University School of Law https://web.law.duke.edu/cspd/publicdomainday/2023/ ◆本 2023年にパブリックドメインとなる作品は数千冊におよび、以下に列挙される作品はあくまでもごく一部です。 アーサー・コナン・ドイル「シャーロック・ホームズの事件簿」 アガサ・クリス
ルクセンブルク政府主催の展覧会でルクセンブルク出身の美術学生のジェフ・ディーシュブルク氏が「第11回現代美術ビエンナーレ賞」を受賞し、賞金1500ユーロ(約21万円)を受け取りました。しかし、アメリカを拠点とするアーティストの張晶娜氏は、この作品は自身の作品の盗作だとして訴訟を起こしました。しかし、2022年12月7日に「写真の独創性が不十分だった」として著作権保護の訴えを退ける判決が下されています。 Jeff Dieschburg case: plagiarism not recognised | Delano News https://delano.lu/article/jeff-dieschburg-case-plagiaris Polémique: Un artiste luxembourgeois récompensé a-t-il plagié une artiste chin
被害が年間1兆円以上とされる、漫画を無断で掲載する「海賊版サイト」などの被害の救済を図るため、文化庁は、裁判で損害賠償を請求する額を増額できるよう、著作権法を改正する方針を有識者の会議で示しました。 出版社などで作る一般社団法人「ABJ」の試算では去年1年間、海賊版サイトによって無料で読まれた漫画の被害額は総額で1兆円余りに上っています。 しかし漫画家などの著作権者が損害賠償を求めたとしても、現状では本来販売できたと推定される額を超える分は請求が難しく「侵害した業者などが損害賠償額を大幅に超えた利益を得ている」という指摘が出ていました。 こうした中、文化庁は5日、有識者の会議を開き、損害賠償の請求額を増額できるよう著作権法を改正する方針を盛り込んだ報告書の素案を示しました。 新たな制度では、これまでの賠償額に加え著作権侵害を前提としたライセンス料に相当する額を上乗せして請求できるようになる
意外かもしれないが、小中高生はけっこうな読書家である。それを引っ張る存在が「ライトノベル」だ。『読売新聞』2022年10月28日付朝刊に掲載された「小中高生が読んだ本ランキング」によれば高校男子の読んだ本ランキングの多くをライトノベルが占めている。 そうなると「ライトノベル作家になりたい人」も大量に出てくる。彼らは日々、切磋琢磨しながら「デビュー」を目指している……のだが、作品が書籍化され「プロ作家」の一員になれたとしても、続けて2冊目、3冊目と「売れる作品」を書き続けるのは相当に難しい。 今回、ある出版社に勤務する編集者のAさん(30代男性)が語ってくれたのは、せっかくデビューしたのに「2冊めが最後まで書けなかった」作家のエピソード。ところが、その2冊目もちゃんと発売されたそうで……。いったい何が起きていたのか、編集の裏側を聞いてみた。(取材・文:広中務) 投稿作品で感じた「可能性」 ラ
著作権法の一部を改正する法律(令和3年法律第52号。以下「改正法」という。)により、各図書館等による図書館資料の公衆送信を可能とする規定の整備がなされました。(改正規定は、令和5年6月1日から施行することを予定しています。) 著作権法(昭和45年法律第48号)は、一定の条件のもと、図書館等での著作物等の複製について、著作権者等の許諾を要しないものとしてきましたが、改正法では、国民の情報アクセスの充実等を図る観点から、権利制限の対象として各図書館等による図書館資料の公衆送信を追加するとともに、著作権者等の正当な利益の保護とのバランスを図る観点から、新たに権利制限の対象となる公衆送信について、著作権者等に補償金(「図書館等公衆送信補償金」)を受ける権利を付与することとしたところです。 改正法による改正後の著作権法第104条の10の2第1項において、図書館等公衆送信補償金を受ける権利は、図書館等
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平素はMF文庫Jをご愛読いただきありがとうございます。 MF文庫J『恋と呪いとセカイを滅ぼす怪獣の話』(2022年10月25日発売/さがら総 著)におきまして、新潮文庫nex『いなくなれ、群青』(2014年9月1日発売/河野裕 著/株式会社新潮社)との一部本文の一致を確認いたしました。 本件に関連し読者の皆様をはじめ、河野裕様、株式会社新潮社のほか関係者各位には、多大なるご迷惑をおかけしますことを深くお詫び申し上げます。 本件の該当部分、発生経緯につきましては、以下に記載いたします。 -------------------------------------------------------- ◆該当箇所 ---------------------------- 『恋と呪いとセカイを滅ぼす怪獣の話』 207ページ 2行目~4行目 陽はずいぶん落ちていた。空の低い位置が、鮮やかな赤に染まる
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