パンデミックで様変わりした街 スナ・カラバイは、バックミラーでアイメイクを直し、バスのハンドルに寄りかかって朝の祈りを捧げた。それからバスのなかを歩き回り、この街で最も忙しい商業道路を10時間走る前の最終点検をした。床や座席は掃除され、手すりも消毒され、ガソリンは満タンだ。 最初の停留所に向かい、午前5時32分ちょうどになるのを待ってドアを開けた。 「おはようございます」。その日の最初の客に、スナはそう挨拶をした。 それは毛布と枕を抱えた裸足の男だった。彼は3ドルの運賃に対して29セントだけを料金箱に入れた。「これしか持ってないんだ」と男が言うと、スナはうなずいて彼をバスの中に促した。 次の乗客は、3つのゴミ袋に入った荷物を持った夫婦と紐に繋がれていない大きな犬だった。「介助動物です」と飼い主の一人は言い、ポケットからバスの定期券を取り出そうとした。その間に犬がバスの中に入り込み、ティッシ