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平民金子に関するnonsectのブックマーク (32)

  • 神戸市:ごろごろ、神戸3「最終回 避けた小道」

    細い路地の向こうには日が当たっていて、やわらかい光の中に黒と、ぶちの2匹のが、体をくっつけて昼寝をしている。私は自転車で先を急いでいたのだけれど、視線の先のあまりにも完成された景色に遠慮して、どのような理由があってもそれを壊してはいけないような気がするから、遠回りして別の道を走った。 あたたかい日の午後。数匹の野良が路地の真ん中で堂々と寝そべっている時間帯を私は知っている。その時はこうやって遠回りするんだ。でも、通らなかったという事によってなおさら、私の中には避けた小道の情景がありありと浮かぶ。日が当たっている。身を寄せてが寝ている。近所のおじさんもおばさんも、を避けて歩いている。 久しぶりに銭湯に行った。 今はどこにでもタブレットやスマホを持ち込む生活習慣になっていて、風呂やトイレでも何かを読んだり何かを書いたりしている。布団に入る時でさえもスマホを手放さずに、暗い部屋で電子書籍

    神戸市:ごろごろ、神戸3「最終回 避けた小道」
    nonsect
    nonsect 2019/04/17
    すごい。
  • 神戸市:ごろごろ、神戸3「第23回 お金のハンバーガー」

    漫画『サードガール』(西村しのぶ)を読んでいたら、大好きな時代劇を見るために職場から急いで帰宅したものの冒頭のシーンを見逃してしまい地団駄を踏む美也に対し、同居人の涼が、ボーナスも出たしビデオでも買おうか?と提案する場面があった。美也は「テレビはその時放送してるヤツを見ることに意義があるのよ」「なんたって同時性よ。同時性!!」と言って、ビデオなんていらないと拒む。この場面が描かれたのは1985年。私が子供のころ「ビデオさえあれば日曜の朝に家にいなくてもキン肉マンが好きな時に何回でも見れるのに」と強い憧れを抱いた時期ともぴったり重なっている。当時はまだテレビ番組の放送時間に生活を合わせ、リアルタイムで視聴するスタイルが主流だった。 45歳になったイチローが日に来て、おそらくこれが現役最後になるだろうという試合の日。私もこの日ばかりはさすがに特別な気持ちでテレビの前に座らないといけない気がし

    神戸市:ごろごろ、神戸3「第23回 お金のハンバーガー」
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    nonsect 2019/04/03
    サードガール懐かしすぎる。
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  • 神戸市:ごろごろ、神戸3「第22回 ラーメン屋でセットメニューを注文した時の時間差到着問題」

    みなさんこんにちは。 遠くのほうに座っている方も聞こえますか? すいません、マイクの音量を少し上げる感じで、はい、もう少し。 はいはいこれでOKです。 ごめんなさい、声が小さくて。 さてあらためまして、こんにちは。 今回は「ラーメン屋でセットメニューを注文した時の時間差到着問題」についてお話させて頂きます。 みなさん、今日のお昼は何をべましたか? あるいは、これから何かべられる方もいらっしゃるかと思います。 うどん、とんかつ、寿司、カレー? はいはい、違います。 みなさんがべていいのはラーメンセットだけです。 扉をあけて、入るのは町の小さな中華料理屋。 のれんには「ラーメン」「中華料理」 神戸だったら「中華」なんて書かれているお店も多いですね。 このような個人店は調理をおやじ一人でやっている場合が多いので、カウンターに座ってセットメニューを注文した時に、私たちは必ずひとつの問題に

    神戸市:ごろごろ、神戸3「第22回 ラーメン屋でセットメニューを注文した時の時間差到着問題」
  • 神戸市:ごろごろ、神戸3「第21回 高菜炒めつくろう」

    妹から姉に「雪だるまをつくろうよ」と呼びかけるのは、映画『アナと雪の女王』においては「(姉さんの)魔法をつかって遊びましょ」というサインだ。姉のエルサはどんな時だってそう言われれば仕方ないなあと、指先から氷を飛ばしたりお城の中に雪を降らせたり地面を凍らせたりして相手をしてくれる。でもある時からとつぜん、大好きな姉が自分を避けるようになってしまった。アナにはその理由がわからない。 理由がわからないまま愛する人から関係を絶たれるほど、残酷なことはないだろう。 姉のエルサは、過去に氷の魔法を誤って妹にぶつけてしまい、そのせいでアナは傷つき意識を失ってしまう。エルサはうろたえ、両親からは力や感情を制御して生きることを要求される。自分のせいで重体となった妹は、妖精トロールの力によって無事に意識を取り戻す事は出来たが、代償として姉の魔法に関する記憶はすべて消去されてしまった。エルサは妹にその事を伝える

    神戸市:ごろごろ、神戸3「第21回 高菜炒めつくろう」
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    nonsect 2019/03/06
    わろた。
  • 神戸市:ごろごろ、神戸3「第11回 なつかしさと、都合良さと」

    どういった会話の流れだったのか、酒場で「いま旅行するならどこがよい?」というような話題になって、私は「キューバだと思う」と即答した。親米政権から一転、1959年の革命からアメリカと国交断絶する流れがあって、アメリカ文化の受容という意味では半世紀以上、時間が止まっている部分がある。建物はコロニアル建築の昔のものがそのまま残っていて、1950年代の米国車が今も現役で街を走っている。年齢を重ねた人間の顔に皺(しわ)が刻まれるように、道路や建物や乗り物にも皺があって、首都ハバナに漂う「街の皺」は特別なものだと思った。 ……なんていう話を酔いも手伝って、滔々(とうとう)としゃべり続けた。 古くからある街なみが好きだ。高倉健が主演する『ならず者』(1964)には半世紀以上前の香港がこれでもかと写されていて、ストーリーとは全く関係のない外の風景ばかり見てしまう。主人公が最初の任務を遂行し、車で走り去る時

    神戸市:ごろごろ、神戸3「第11回 なつかしさと、都合良さと」
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    nonsect 2018/10/03
    よい。「変わらないでいてほしい」というのは身勝手な愛かもしれないけども、変わることが判ってしまっているからこそ出てくる言葉でもある。愛やね、愛。/本20選楽しみ。
  • 神戸市:ごろごろ、神戸3「第7回 中華冷や汁研究」

    酷暑が続くため「冷や汁」を家の定番メニューにしようと思い作り方を調べていたら、どうやら余った味噌汁を冷蔵庫で冷やしてご飯にぶっかければそれでOK、といった単純な話ではないらしい。 非常に手間がかかるのである。 何せいきなり「まず、味噌に焼き目を作る」なんて書いてある。 そして「皮と骨を取り除いたアジの干物をすりこぎで細かくして」なんて書いてある。 これは「簡単!チャーシューの作り方」みたいなレシピを見ていたら、最初に「お肉をタコ糸で縛る」と書いてあるような、目にした瞬間にズコーッとなるハードルの高さ。 まさに、作ってくれるなと言わんばかりのややこしさだ。 家庭料理は手間を省いてナンボ。時間との勝負である。 私はめんどくさくなって、味噌を使った冷や汁を2秒であきらめ、方針を転換し中華風冷や汁を作製する事に決めた。 というわけで、まずは最近新開地の路上でおじさんが手作りしている謎の紙粘土人形

    神戸市:ごろごろ、神戸3「第7回 中華冷や汁研究」
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    nonsect 2018/08/01
    往年の平民新聞テイストで良いと思いました。
  • 神戸市:ごろごろ、神戸2「第46回 モトコーにあった中華料理屋の話」

    元町高架下(モトコー)3番街の中華料理屋「梨園」が3月末で閉店となった。モトコーはいま再開発の話が大きく動き出したところで、あちらこちらの店舗で移転や閉店が続いている。神戸といえば高架下商店街、そんなイメージが私にもあり、引っ越して来たころはまだ子供もいなかったので散歩がてらよく歩いた。なんとなくだけれど、神戸駅側(7~4番街)は静かで元町駅側(1~3番街)はにぎやか、そんな印象で、いつも7番街から入っていた私には、ひっそりとした通りを歩いて3番街の入口すぐにある「ラーメン450円」と大きく書かれた梨園の看板が、神戸と元町の境目に立つ道標のように思えた。 店の年輪を感じさせる入口の古びたサンプルと、外国からの観光客を意識して書かれた英語と日語併記のメニューを見ると、「これは素通り出来へんやろ」という気持ちになって引き戸を開けたのが最初。店内はテーブルとカウンターがあるがいつも1人だったの

    神戸市:ごろごろ、神戸2「第46回 モトコーにあった中華料理屋の話」
  • 神戸市:ごろごろ、神戸2「第45回 おすしはリバーサイド」

    花見客は皆、楽しそうである。私は毎年彼らの横を歩きながら「なぜおれを呼ばないのか」「なぜおれを呼ばないのか」「なぜおれを呼ばないのか」と四十年の間、問い続けてきた。そのせいか4月には桜ではなくルサンチマンが満開となり、結局花見に一度も呼ばれないままこの年になってしまった。 しかし敵を攻略するためにはまず知る事からだと思い各所の花見現場を仔細に観察してみると、そこには日人の他にも様々な国の人たちが思い思いに輪になって桜の木の下で談笑している光景があって、これはなかなかおもしろいぞと思った。彼らは束の間やって来た観光客かも知れないし、勉強や労働のために滞在している人たちかもしれない。 私はもう毎年の花見風景を見ても感覚が麻痺して何とも思わなくなっているが、もし自分が外国からやって来た異文化の人間なら、特定の季節のほんの短い期間、特定の花咲く木の下に集って酒を飲むその国の習慣を目にすれば、絶対

    神戸市:ごろごろ、神戸2「第45回 おすしはリバーサイド」
  • 神戸市:『ごろごろ、神戸2』タブロイド判を発行

    神戸市ホームページ上で、平成29年5月3日(水曜)から毎週水曜日に掲載しているエッセイ『ごろごろ、神戸2』を、タブロイド判として発行し、神戸市総合インフォメーションセンターなどで販売します。 このエッセイは子育てを主なテーマとしながら、神戸の各スポットを紹介する内容で、開始以来、読者から多数の好意的な感想が寄せられている人気コンテンツです。 このたび発行するタブロイド判は、「オシャレ」「モダン」といった神戸の典型的なイメージから意図的に差異化したデザインと、迫力のある大きな写真で神戸の新たな魅力を楽しめるほか、エッセイとしても堪能できる従来にない観光ガイドブックです。 1.『ごろごろ、神戸2』とは 神戸に移住してきた作者・平民金子氏が子供を乗せたベビーカーを”ごろごろ”と押しながら、神戸での生活や、神戸のさまざまな場所で考えたことを綴る全48回のエッセイ集。毎週水曜日に市ホームページに掲載

    神戸市:『ごろごろ、神戸2』タブロイド判を発行
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    nonsect 2018/03/29
    デザインが予想外すぎてワロタ。欲しい。
  • 神戸市:ごろごろ、神戸2「第40回 摩耶山の思い出」

    運動習慣がなくなって久しい。せっかく山が身近にあるのだから元気に山登りしたいという欲求はあるのだが、しかしいつも駅やバスを降りた真横でケーブルカーが「どうぞどうぞ」と待っていては、それに乗ってしまうのが人間というもの。毎朝母親に起こしてもらっていると子供がいつまでも1人で起きられないように、運動に対する意識だけは高くても毎回ケーブルカーに助けられていては体力もつかない。そんな中、2月23日から3月9日までの15日間、なんと摩耶山のふもとから掬星台(きくせいだい)までをつなぐ摩耶ビューライン(ケーブルカーとロープウェー)が定期点検のために運休になっているという。これは母親にたとえると、なんでもやってくれるオカンがしばらく湯治に出かけたようなものである。このタイミングしかない。かあちゃんおれ、もう1人で起きられるよ。というわけでJR灘駅で降りて乗るのはご存知、坂バスである。 登山口までは駅から

    神戸市:ごろごろ、神戸2「第40回 摩耶山の思い出」
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    nonsect 2018/02/28
    野生のイノシシを初めて見たときの興奮、ぐうわかる。ワイもめっちゃ興奮して生粋の神戸人にそのことを伝えると「あ、そう」と冷めた反応だったのは良い思い出。
  • 神戸市:ごろごろ、神戸2「第31回 商店街や市場あれこれ(前編)」

    神戸の西っかわに塩屋という海と山に挟まれた小さな町があって、先月そこで行われた「しおさい」というお祭りのトークイベントに呼んでいただいた。テーマは「商店街や市場あれこれ」。同席した森アリさんは築100年を超える洋館旧グッゲンハイム邸の管理人としてだけでなく、生まれ育った地元塩屋の町や商店街に深く関わって様々な活動をしている方で、三宗匠さんは私が引っ越してくるきっかけとなった稲荷市場でイベントスペースsalon i'maを作り、町の再開発で移転を繰り返しながらも長年地域に関わり続けてこられた方。そんなお二人は私にとっては神戸の大先輩であると同時に、まったく違う立場の人間でもある。それは、いま二人を紹介する際にどちらにも「かかわり」という言葉を使ったが、私は昔から人との「かかわり」を可能な限り避けて生きることに苦心してきた人間だからだ。商店街や市場に対してもあくまでも客としての身分を忘れずつ

    神戸市:ごろごろ、神戸2「第31回 商店街や市場あれこれ(前編)」
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    nonsect 2017/12/21
    おばあさんの返しにズッコケたけど納得もした。
  • 神戸市:ごろごろ、神戸2「第28回 ありがとう、神戸マラソン」

    11月19日、日曜日。ようやくこの時がやって来た。「感謝と友情」をテーマに、「ありがとう」をキャッチフレーズにした、神戸市民なら誰もが待ち望むイベント『神戸マラソン2017』がついに開幕である。私たちごろごろ神戸取材班も前日から興奮気味で眠れず、つい調子にのって深夜4時までワインを飲んでいたら、あくる日は昼過ぎに目が覚めた。とりあえず腹に何か入れたいが現地の屋台で焼きそばでもべればいいやと三宮駅からスタート地点である神戸市役所の前まで歩く。すると現地に到着しても2万人が走るというわりには誰もおらず、警備員さんに聞くとすでに全員が出発した後とのことだ。スタート地点からの取材を計画していた私の目の前に広がるのはいつもの道路で、片付けられた柵だけが唯一、大会が少し前にここで行われた事を伝える手がかりとして残っている。 失意のまま三宮駅に戻ると神戸新聞と朝日新聞が号外を配っており、さらに知らない

    神戸市:ごろごろ、神戸2「第28回 ありがとう、神戸マラソン」
  • 神戸市:ごろごろ、神戸2「第26回 神戸港灯台巡り」

    11月1日は灯台記念日らしい。私はこれをてっきり、最近になって神戸市が数字の「1」を灯台に見立てて適当に作ったものだろう……なんて思っていたのだが、無知もいいところ、ウィキペディアを見ると1868年に日で最初の西洋式灯台が横須賀で起工されたのを記念し海上保安庁が1949年より制定、とあるからこれは充分に歴史のある記念日なのであった。といってもこれまで灯台とは縁もゆかりもない人生を歩んできたので、たまたま海に近い神戸という町に住んでこのような連載を始め、常に近郊のイベント情報を収集している今の状況でもなければ、特に祝日でもないこのような記念日は、気付かないままで何事もなく過ごしていただろう。 実はこの日は、「神戸港灯台巡り」という非情に贅沢なイベントが行われていた。それはブラタモリの神戸回にも出演していた神戸港振興協会の森田潔氏のガイドで遊覧船ファンタジー号に乗り、この日だけの特別コースを

    神戸市:ごろごろ、神戸2「第26回 神戸港灯台巡り」
  • 神戸市:ごろごろ、神戸2「第23回 「母親」を半分引き受ける」

    初めての立ち飲み屋デビューは確か生後3か月くらいの頃。以来私は抱っこしながらであれベビーカーに乗せながらであれ、ホルモン屋や串かつ屋、寿司屋に焼き肉屋、さまざまな「酒の飲める場所」に子供を連れて行っている。飲みに出かける回数自体は激減してしまったが、子供がいるからといって行動範囲が制限されてしまうのもシャクだなと思い、なるべくどこにでも子連れで行くようにしているのだ。もちろん混雑している時に行くのは他の酔客や私の子供、どちらのためにもならないので避けるが、さいわい近所には朝から開いている酒場がたくさんあるから、すいている時間帯を狙って店の前にベビーカーを横付けし一杯ひっかける。関西特有の気安さか、神戸では赤ちゃん連れで入れる店を探すのに困る事もなく、こんな所に連れてきて…などと言われた事は今まで一度もない。 というような話を先日、その日は灘区の水道筋にある串かつ屋「一燈園」に子供を連れて行

    神戸市:ごろごろ、神戸2「第23回 「母親」を半分引き受ける」
    nonsect
    nonsect 2017/10/18
    こういう考え方ができる人って素敵やと思う。実行できているのはもっと素敵。あと娘さんの後ろ姿いつもながらかわいい。
  • 神戸市:ごろごろ、神戸2「第20回 須磨海岸でゴミを拾うこと」

    夏の間にすっかり世話になった須磨海岸も海水浴シーズンが過ぎれば人の出入りは少なくなり、代わりにと言ってはなんだが捨てられたり流れてきたりしたゴミや枯れ木が目立つようになった。昔の自分なら「だからどうしたの?」という風で、こういう場所に散らばるゴミもまた景観に味を添えてよし、なんて事を言っていたかもしれない。しかし今は、子供を遊ばせる時にゴミがあると危なくて困るな…出来るだけ危険なゴミはなくなってほしい…なんて思っているのだから、我ながら身勝手なものだ。 道端に置かれた飲み残しの缶や煙草の吸い殻、以前にはたいして気にもとめなかったものが、小さな子供を歩かせるにあたってはすべてが危険な障害物になってしまう。そんな中で日曜日にこの場所でゴミ拾いイベント(須磨海岸クリーンアップ作戦)が行われる事を知ってしまっては「そうですか。皆さんがんばってくださいね」と他人事のように見過ごすわけにもいかず、海岸

    神戸市:ごろごろ、神戸2「第20回 須磨海岸でゴミを拾うこと」
  • 神戸市:ごろごろ、神戸2「第19回 あの日、あの時の動物園」

    ハーバーランドumieにある大垣書店で買い物をしていると、探していたと同じ棚に成田一徹『新・神戸の残り香』(神戸新聞総合出版センター)があって、それをなんとなく手にとってパラパラとめくってみれば普段から私がよく行く場所が多数切り絵作品として掲載されており、困った。こういう場合、普通に考えれば読んだ方が良いのだが、うかつに読まない方が幸せな場合もある。さてどうすべきか……などと考えた時にはすでに遅く、私はそこにある一点の切り絵と短い文章に吸い寄せられていた。これは立ち読みしている場合ではないと考えてレジへ。1階まで降りてにしむら珈琲店に入り、ふたたび58ページを開く。 『平和を映す父の温顔』 そう題されて描かれていたのは、第15回で私も書いた王子動物園のチンパンジー、ジョニーだ。 『新・神戸の残り香』の連載は2010年4月から2012年10月まで続いており、作者は連載の中で2011年の3月

    神戸市:ごろごろ、神戸2「第19回 あの日、あの時の動物園」
    nonsect
    nonsect 2017/09/20
    “朝起きてカーテンを開け、陽の光をあびる。それは疑いようもなくラッキーな事なのだ。”
  • 神戸市:ごろごろ、神戸2「第18回 ライスカレーの夢」

    カレーといえば、ルーを自作したり、玉ねぎをあめ色になるまで炒めたり、野菜をたくさん入れて長時間煮込んだり、かくし味を入れたりと、これまでひと通りの工夫はしてきたが、最近は市販の箱入りルーを買って、箱の裏に書かれた調理法通りにしか作ってない。家で作るカレーに関して言うと、ひと手間かけて不味くなるわけではないが、総合的に見て労力に見合った効果は得られないと判断したからだ。材料も箱の裏に書かれている通り玉ねぎ、人参、ジャガイモという定番野菜と肉のみ。ほとんどのカレーはメーカーは違えど作り方は同じで、玉ねぎ、人参、ジャガイモ、肉を鍋で炒め、水を入れて煮込み、火を止めてルーを入れる。この完璧すぎる工程には工夫のしようもなく、料理する時間も40分ほどで済み、味もいつも同じ、高いレベルで安定する。ところがである。先日、いつものように私の作ったカレーべたが興奮気味にこう言った。 「今日のは味が違う、

    神戸市:ごろごろ、神戸2「第18回 ライスカレーの夢」
    nonsect
    nonsect 2017/09/13
    今回は全然神戸関係なくて草。すこ。
  • 神戸市:ごろごろ、神戸2「第16回 一時間で神戸案内」

    「東京に行く途中で一時間ほどそちらに立ち寄るから、神戸を案内してほしい」 つい最近、九州に暮らす身内夫からそのような大雑把な頼みごとをされて、若干の面倒くささを感じながらも春先から神戸関係のばかり読んでいた私はすぐ、これは陳舜臣『神戸ものがたり』に出てくる「神戸を見たいが一時間しか余裕がないというとき、どこへ行けばよいだろう?」というテーマそのものだと思い、コラム一回ぶんくらいのネタにはなるかなという下心もあって調子よく引き受けた。と言っても一時間で何が出来るわけでもなく、普段よく買い物に行く神戸新鮮市場でのべ歩きを計画しただけだ。 時間に制限さえなければ付け替えられる前の湊川が流れていたハーバーランド近くの川崎重工あたりから出発し、つけ焼き刃の町の歴史解説をしながら新開地を北上するルートをとりたいところだが、なんせ時間がない。その辺は全部端折って、東山商店街すぐ近くの荒田公園パーキ

    神戸市:ごろごろ、神戸2「第16回 一時間で神戸案内」
    nonsect
    nonsect 2017/08/23
    今回のは違う意味で読んでて切なくなった。もやもや。
  • 神戸市:ごろごろ、神戸2「第13回 神戸、安いかき氷特集」

    子供の頃は、夏休みともなると近所の駄菓子屋などで売られているカップ容器のかき氷を毎日のようにべていた。しかし成長するにつれだんだんとべなくなったのが先か、近所から子供の小遣いで買えるような安いかき氷を売る店がなくなったのが先か、いずれにせよかき氷というべ物は自分の人生からは縁遠いものとなった。しかしそんな私にとっての「かき氷 冬の時代」が忘れもしない今年の5月、メリケンパークでおこなわれた「神戸メリケンフェスタ2017」の会場で終わりを告げた。かき氷屋台に興味を示した子供に試しに買い与えた事をきっかけにし、まずは子供が、つられて(子供のべ残しを仕方なくべていた)私が、という順番でかき氷スイッチが入ったのである。 幼児といっしょに過ごしていると、自分の記憶にない時代を生きなおしているような気分になれる。生まれてすぐの新生児時代や1歳、2歳の頃、私はどんな風にして過ごしていたのか、今

    神戸市:ごろごろ、神戸2「第13回 神戸、安いかき氷特集」