厚生労働省は、慢性的な病気の子供や障害児のいる未婚のひとり親世帯への支援を拡充する。所得が一定水準を下回る層などを対象に、医療費や障害児向けサービスを利用する際の負担額を減らす。未婚のひとり親世帯は家計が苦しいことも多く、これまで妻や夫と死別・離婚したひとり親に適用されていた減額措置の対象を未婚の場合にも広げることにした。減額措置の対象が広がるのは9つのサービス。心疾患、糖尿病などを患う子供へ
震災で妻を亡くした阿部英敏さん。子育てによる仕事の制約は大きく、収入も大きく減ったという=宮城県東松島市で、宇多川はるか撮影 男の育児は子供に迷惑なのか。乳幼児の養育を巡り27日、自民党の萩生田光一幹事長代行から飛び出した「迷惑」発言。世の中には母を亡くし、あるいはさまざまな事情から母と別れ、父に育てられる子がいる。父子家庭の当事者たちから「心ない言葉だ」との声が上がっている。【宇多川はるか】 萩生田氏の発言は宮崎市での講演で出た。いわく「言葉の上で『男女共同参画社会だ』『男も育児だ』と格好いいことを言っても、子供には迷惑な話だ。子供がお母さんと一緒にいられるような環境が必要だ」。 当事者団体「全国父子家庭支援ネットワーク」の村上吉宣代表(38)=仙台市=は「悪意があったわけではないと思う」と前置きしつつ、「傷付いている人はたくさんいるでしょう」と話す。
汚れたおむつ、さまざまな難しい問題、学校までの送り迎え──シングルファーザーたちも、多くの心配事を抱えている。その父親たちに、さらに追い打ちをかけるような事実が明らかになった。 カナダ・トロント大学の研究チームが子供を持つ男女およそ4万人を対象に行った調査の結果、シングルファーザーが早死にするリスクはシングルマザーやパートナーと一緒に子育てをしている人たちと比べ、2倍以上高いことが分かった。 公衆衛生に関する専門誌、ランセット・パブリック・ヘルスに掲載された調査結果によれば、研究チームはシングルファーザー871人とシングルマザー4590人、パートナーのいる父親1万6341人、パートナーのいる母親1万8688人を対象に、11年間にわたる追跡調査を行った。その際、25歳未満の実子または養子1人以上と暮らすパートナー不在の成人を「片親(ひとり親)」とした。 調査期間中に死亡したシングルファーザー
言語聴覚士の資格取得に向けて勉強する小林奈弓さん(右)と次男立暉さん=東京都杉並区で2016年12月4日午後3時35分、遠藤大志撮影 息子を育てた経験を生かし「サポートがしたい」 滑らかな発語が難しい吃音(きつおん)の息子を育てた経験を生かそうと、言語障害に悩む人たちを支援する「言語聴覚士」の資格取得を目指すシングルマザーがいる。2月に資格の試験に臨む東京都杉並区の小林奈弓(なゆみ)さん(47)は「自分の育児経験を生かし、吃音の子どもを持つ親のサポートもしたい」と話す。 小林さんは2003年に病気で夫を亡くし、当時3歳の長男と0歳の次男を1人で育て始めた。次男立暉(りき)さん(13)は2歳過ぎで吃音を発症した。相談機関で「愛情が足りない」と言われてショックを受け、仕事で忙しい日々を送りながらも「愛情のある子育て」に努めた。
小さないのち 奪われる未来 九州地方に住む30代の女性は「そろそろ」と思っていた2年前の早朝、おなかが痛くなり、風呂場に駆け込んだ。生まれた赤ちゃんの顔に耳を近づけたが、息をしていなかった。 一緒に暮らす家族に言えないまま赤ちゃんを車に隠した。「自分にはできないけど、埋葬してほしい」と、数日後の夜、病院内にそっと置いた。 女性は亡くなった赤ちゃんを置き去りにした死体遺棄罪で有罪判決を受けた。 女性らへの取材や裁判記録によると、女性は実家に住み、パートで働いていたものの、生活費は親に援助してもらっていた。自宅とパート先を往復する生活の中で、ネットで知り合った男性とデートするようになった。「ドライブしてご飯を食べに行って。そういうことが楽しかった」 そして、妊娠。相手の男性に…
生活保護を受けている母子家庭のうち、母親の4人に1人が心身に疾患を抱えていることが7日、厚生労働省の調査で分かった。来年度には生活保護の水準を見直す予定で、厚労省の担当者は「子どもの貧困につながらないよう、実態把握を進める」としている。 生活保護を受けている全世帯を対象に行う2014年7月の調査から、18歳以下の子どもがいる約10万3千の母子世帯を分析。25・3%の母親に障害があったり病気を患っていたりした。そのうち半数近くは症状が半年未満と比較的軽度な精神障害で、1割強は半年以上続く重度な精神障害があった。障害や病気がある母親のうち働いている母親は4・8%だった。 厚労省の11年調査では、母子家庭の母親で自分の健康に悩みを抱えていると答えた人は全体の9・5%。生活保護受給世帯の母親は心身に疾患を抱えている割合が高い傾向にある。(井上充昌)
1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら。 生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ 生活保護当事者の増加、不正受給の社会問題化などをきっかけに生活保護制度自体の見直しが本格化している。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を紹介しながら、制度そのものの解説。生活保護と貧困と常に隣り合わせにある人々の「ありのまま」の姿を紹介してゆく。 バックナンバー一覧 今回は
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