当事者や家族が語り合う「家族カフェ」には、助けを求めて大勢の人が集まる=2017年4月24日、鴇沢哲雄撮影 本人だけじゃない「葛藤」 親の悩みも打ち明けて 東京都千代田区の雑居ビル街の一角。今年2月の肌寒い日、狭い路地を入ると、ガラス窓から明るい光が漏れる部屋の中から話し声が聞こえてきた。LGBT支援のNPO団体が主催する「家族カフェ」。主に、心と体の性が一致しないトランスジェンダーの若い当事者と、その母親ら約20人が集まり、互いの悩みを打ち明けたり、さまざまな情報を交換する場だ。 母親らに交じり、父親(56)が1人だけ参加していた。埼玉県北部の街から、妻(47)と心の性は男性という娘(29)と一緒に来たという。両親は、ほかの母親らの話に熱心に耳を傾けた。
米国の10世帯のうち4世帯では、高齢になった家族の介護の役割を男性が担っている。それは主に、夫や兄弟、義理の息子たち、あるいは隣人の男性たちなどだ。米国ではこれまで、介護について語るときには必ずと言っていいほど、こうした男性たちの存在が無視されてきた。家族の介護をするのは、40歳を過ぎた娘たちだと思い込まれてきたためだ。 全米退職者協会(AARP)の公共政策研究所が今年3月に発表した報告書は、目を向けられてこなかった「介護者としての男性たち」についての調査結果をまとめたものだ。米国は今こそ、こうした男性たちに関する理解を深めるための努力を始めなくてはならない。 実際には、男性たちはかなり以前から、介護の役割を担ってきた。2015年に発表された調査報告書「米国における介護」に示されたデータからは、親戚や友人の介護者として男性が経験することは、女性たちが経験してきたこととほぼ同じであることが明
LGBTなど性的少数者の権利を訴える大規模な街頭活動「レインボーマーチ」を4年ぶりに札幌市で開催しようと、当事者たちが実行委員会を結成して準備を始めた。10月8日の実施を予定し、「当事者、非当事者に関係なく歩き、多様性を肌で実感できる機会にしたい」と参加と協賛を呼びかけている。 新たなイベントは「さっぽろレインボーマーチ+(プラス)」。昨年11月に北海道江別市の当事者で大学4年、森口朋さん(22)=仮名=がツイッターで呼びかけ、約10人が集まって実行委を結成した。 森口さんは、当事者の学生団体などを作り札幌を中心に活動している。講演会などは元々関心のある人しか来ない一方で、「当事者の生きづらさやつらさは、周囲が性的少数者について知らないことが原因」と痛感した。そこで思いついたのが、レインボーマーチの手法だった。
夫や交際相手による暴力(DV)の被害女性や子供が避難できる民間シェルターが、この5年間で行政からの一時保護委託が3割減少し、経営悪化に直面している。既に4団体がシェルター運営を休止し、専門家は「被害者支援の最後のとりでが破綻する」と危機感を抱く。(19面に「消えない傷~DV家庭に育って」) 毎日新聞がNPO法人「全国女性シェルターネット」に加盟する68のシェルター運営団体にアンケートし、27団体から回答を得た。有効回答22団体のうち過半数の13団体が「経営状況が悪化している」と答えた。 民間シェルターは、都道府県の一時保護所に入れなかった被害女性も受け入れ、病院や裁判所への同行支援▽引っ越しの手伝い▽子供の保育園や学校の手配▽カウンセリング--など、生活再建や自立を手伝う。寄付金や行政からの補助金、一時保護委託費が収入の柱。スタッフの多くは無給で、被害女性が必要とする日用品を自腹を切って負
同性愛の人や性同一性障害の人など、性的少数者の居場所を運営する横浜市のNPO法人「SHIP」が、中学・高校生向けの啓発リーフレットを作り、県内の中高など約800校に配った。性的少数者に対する若者の関心を高めるのがねらいだ。 「SHIP」は、性的少数者の相談や情報交換の場「SHIPにじいろキャビン」(同市神奈川区)を運営。県内外の学校などでの講演活動もしている。 星野慎二代表(57)は、同級生や教員からの「ホモ」「オカマ」などの言葉に傷ついた当事者の若者を目にしてきた。そこで、中高生向けに性的少数者について具体的な情報を届けられないかと、オフィス機器販売などを手がける大塚商会の「ハートフル基金」から助成を受けたことを機にリーフレットを作成した。 内容は2015年度、横須賀市…
裁判の傍聴や、高齢者の孤独死の取材を通し、性差を感じることがある。たとえば、孤独死する人は、妻に捨てられたり、先立たれた男性がほとんどだ。また、窃盗など刑事裁判の被告人には、以前はバリバリ稼いでいたものの身体を壊したり、徐々に仕事がなくなるなどして、ホームレスになったような男性も珍しくない。 しかし、福祉と結びついても、うまく機能しないこともあるようだ。NPOほっとプラス代表理事である藤田孝典さんが3月に上梓した「貧困クライシス 国民総『最底辺』社会」(毎日新聞出版)では、高齢男性が生活保護と結びついたのちに、自殺してしまった事例も書かれる。こうした男性の生きづらさはなぜ生まれるのか。解決策は何か、藤田さんに聞いた。(ライター・高橋ユキ) (インタビューの前編「犯罪繰り返す高齢者、失業者が陥る貧困『負のスパイラル』 藤田孝典さんに聞く〈上〉」はこちら https://www.bengo4.
保護者がいなかったり虐待を受けたりして家庭で生活できない子どもを育てる養育里親として、大阪市が男性カップルを認定していたことが分かった。厚生労働省によると、同性カップルによる里親は全国で初めてのケースとみられる。 認定を受けたのは、大阪市内に住む30代と40代の男性のカップル。昨年12月付。国が定める里親の要件は同性カップルを除外していない。2人は2015年、「里親になりたい」と市の児童相談所に相談。児童福祉施設で子どもと接する実習を受け、審議をへて認定された。現在、養育里親として子ども1人を育てている。 市は認定理由を「社会的養護への理解があり、経済的な安定性もある。実習で見た子どもとの関わり方も問題ない」と説明する。 養育里親は養子縁組を目的とせず一定期間子どもを育てる制度。養育里親の要件は、児童の養育について理解・熱意や豊かな愛情がある▽経済的に困窮していない▽研修を修了している――
女性と男性の賃金格差の実態を社会に訴え、不平等の解消を目指す国際的な運動「イコール・ペイ・デイ(EPD)キャンペーン」の街頭啓発が7日、和歌山市のJR和歌山駅前で行われ、BPW和歌山クラブ(小原智津会長)のメンバー8人が駅の利用者にチラシを配って呼び掛けた。 EPDとは、1月1日に男女が働き始め、男性が1年間で得る賃金と同額を女性が手にする翌年の日のことで、ことしの日本のEPDは昨年より3日改善し4月7日となった。 同駅前での街頭啓発は6年前から毎年実施。啓発チラシ約1000部を用意し、駅の利用者に配布した。チラシを受け取った人の中には、活動や男女間格差の実態についてメンバーに質問する人も見られた。 小原会長は「EPDはまだまだ認知度が低いので積極的に活動を発信していきたい。多くの人に賃金格差の実態を知ってもらえたら」と話していた。
性的マイノリティー(LGBTなど)の子供たちがありのままで過ごせる中学校を増やそうと、NPO法人ReBit(リビット)が、中学校教員向けの教材「アライ先生キット」の配布を始めた。アライ(Ally)は理解者、支援者を意味する。中学校の教員には無料で送付する。データのみならウェブサイトからダウンロードも可能だ。 全国の学校や教育委員会などで教員らにLGBT教育に関する研修を行っているReBitによると、性的マイノリティーの人たちが自分の性や恋愛対象を自覚するのは早ければ小学校からで、周囲の無理解からいじめを受けることも多く、「LGBTの学校生活に関する実態調査」(2013年、いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン)では、性的マイノリティーの68%がいじめを経験したとの報告がある。こうした状況を…
入院や転居、相続……。法律上、婚姻が認められていない同性カップルには、暮らしの中で困ることが少なくない。国の法整備が進まない中、一部の自治体では同性パートナーに夫婦と同様の待遇を認める動きがある。 26日午後、福岡市のホテル。海が一望できる35階のチャペルで、ともに同市の会社員の田中俊行さん(38)と原口真一さん(28)が手をつないでバージンロードを歩いた。列席者約60人の前で誓約書にサインをして、愛を誓った。外はあいにくの小雨模様だったが、次第に晴れ間が見え、海の上には虹が懸かっていた。 田中さんは「みんなが来てくれて感動した。思わず涙が出た」。原口さんは「純粋にうれしい。この式がきっかけで(同性カップルへの)考え方が変わってくれば」。 祝福の中で式を挙げた2人だが、法律上、同性の婚姻は認められない。これまでも制度の壁にぶつかってきた。 田中さんが入院した際、病院から家族の同意書を求めら
日本女子大学(東京都文京区)が、男性の体で生まれたが、女性として生きるトランスジェンダーの学生を受け入れるかどうかの検討を新年度から始める。体の性別を入学の前提にしてきた女子大だが、さまざまな性のあり方への認識が広がる中、生物学的に男性に生まれた人にも門戸を開く可能性が出てきた。 伝統校の日本女子大が議論を始めることで、他の女子大に影響を与える可能性もある。文部科学省と同大は「他の女子大で、同様の動きがあるとは聞いていない」としている。 検討のきっかけは2015年末、神奈川県に住む小学4年生の保護者からの問い合わせだった。この児童は戸籍上は男子だが、性同一性障害と診断され、女子として生活している。同大や付属校の入試の出願資格には、「女子」との規定があるが、同大付属中の受験を希望していた。 これを受け、同大は16年8月、付属の幼稚園、小・中・高校、大学の学部代表らで「LGBTに関する検討プロ
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