今年3月、全国の警察が児童相談所に虐待の疑いがあると通告した子どもの数は04年以来13年連続で増加していると警察庁が発表した。保護者と子どもに一体何が起きているのか。長年、虐待をはじめ、家族や子育てをテーマに取材を続け、『児童虐待から考える』(朝日新書)を上梓したルポライターの杉山春氏に「虐待をしてしまう親の特徴」「虐待を減らすためには」「虐待が社会に訴えるもの」などについて話を聞いた。 ――今回の本に限らず、これまでにも『家族幻想:「ひきこもり」から問う』(ちくま新書)など家族や子育てをテーマにした取材をされています。その理由や、その中での本書の位置づけを教えてください。 杉山:バブルが崩壊した1990年以降、それまで育児誌などのメディアであまり目にしなかった「子どもを叩いてしまう」といった読者投稿や、うまくいかない子育てをテーマにした漫画などが度々掲載され、子育ての大変さが注目されるよ
小さないのち みんなで守る 朝日新聞が都道府県などに取材したところ、2013~16年度の4年間に路上などに遺棄された子どもは少なくとも58人いた。多くが生後間もない赤ちゃんで、妊娠を家族らに打ち明けられず、孤立したまま出産し、遺棄に至ったケースが多いとみられる。 予期せぬ妊娠をしても、児相や病院、電話相談窓口など、どこかに相談すれば何らかの支援につながり、赤ちゃんが遺棄される事態は防げる可能性が高い。だが、東京・渋谷など街頭で若者に声をかけたり、若い女性からの相談に乗ったりしているNPO法人・BONDプロジェクト代表の橘ジュンさん(46)は、困難な状況なのに自分からSOSを出せない女性たちを多く見てきた。 街で出会ったある少女は「妊娠したが、相手がわからない」と話し、橘さんとまず病院に行く約束をした。しかし、約束の時間に彼女は現れなかった。「『自分を否定されたくない』などと、相談に大きな抵
実親が育てられない子どもを匿名で預かる「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」を神戸市の助産院に設置しようとしていた計画が今月、安全面などから当面見送られました。望まない妊娠や生活困窮などの理由で孤立する母と宿った命をどんな態勢で支援するのが適切なのか――。2007年に全国で初めて赤ちゃんポストを設置している熊本市の慈恵病院の取り組みから考えます。 07年5月にポストを置いた慈恵病院(熊本市)は、計画発表から約6カ月かけて国、県や市、児童相談所(児相)、県警などと協議を重ね実現させた。 熊本市の中心部から車で約15分。ひっそりとした病院の裏道の門をくぐり、約4メートルのスロープを歩くと、ポストがある。そのすぐ隣には、相談を促す看板とインターホンも設置されている。 二重扉を開け、子どもが預け入れられると、新生児室などにあるブザーが鳴る。すぐに2人以上の看護師らが駆けつけて子どもを保護。常駐
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