交付された被爆者健康手帳の記載内容を、妹(右)とともに確認する平山さん=福岡市で2018年7月20日、樋口岳大撮影 福岡県が今年5~6月、男女2人の被爆者健康手帳の申請について、亡くなった親族が過去に手帳を取得した際の申請内容などを基に手帳を交付していたことが分かった。うち1人の女性は、1960年に父が自らの手帳を申請した書類には「被爆なし」と記載されていたが、県は「差別を恐れて子どもの被爆を隠していた可能性がある」などの事情を考慮して被爆者と認めた。 国は手帳申請者に対し、罹災(りさい)証明などの公的書類や「第三者2人以上の証明」などの提出を求めているが、被爆から73年となる中で申請者自身が捜し出すのは困難になっている。2人の手帳取得を支援した福岡市原爆被害者の会は、福岡県の判断を「被爆者の実態を踏まえた柔軟な対応だ」と評価している。
今年7月に新会社へ事業譲渡する一般財団法人・化学及(および)血清療法研究所(化血研、熊本市)が、薬害エイズ訴訟で和解した被害者への支援について、譲渡後も存続する現財団で継続する方針を固めたことが、化血研関係者への取材でわかった。化血研など被告5社は患者への恒久支援を約束して和解した経緯があり、対応が注目されていた。 輸入非加熱製剤でエイズウイルス(HIV)に感染した血友病患者らが、国と化血研など製薬5社に損害賠償を求め、東京、大阪両地裁に提訴した訴訟は、1996年に和解が成立。国と被告メーカーは、一時金4500万円のほか、発症者には月額15万円の健康管理手当を支給している。厚生労働省によると、和解が成立した人は6月15日現在で1387人。 長年にわたる血液製剤の不正製造が2015年に明らかになった化血研は今年7月、明治グループと熊本県、地元企業連合の出資による新会社「KMバイオロジクス」に
神通川流域で発生したイタイイタイ病が、全国で初めて公害病と認定されてから8日で50年を迎えるのを前に、富山市の富山県立イタイイタイ病資料館で6日、映像で歴史を振り返る記念行事があった。被害者団体や原 ...
水俣病第1次訴訟原告らとの集まりで、「水俣病市民会議」の歩みを振り返る鶴田さん=熊本県水俣市で2018年3月21日、笠井光俊撮影 公式確認から5月1日で62年 鶴田さん 訴訟、生活支え 5月1日で公式確認から62年となる水俣病の被害者を支援してきた熊本県水俣市の市民団体「水俣病市民会議」が今年で設立50周年を迎えた。会議は、患者らが原因企業のチッソ(現JNC)に損害賠償を求め勝訴した第1次訴訟(1969~73年)を支え、補償制度に道筋をつけたことなどで知られる。設立当初から参加する水俣市袋のミカン農家、鶴田徹夫さん(81)は「患者を見る市民の目の冷たさに疑問を感じた」と当時を振り返る。 水俣病は56年5月1日に公式確認されたが、国がチッソの工場排水が原因の有機水銀中毒と認めて公害認定したのは68年。患者らは「奇病」などと、いわれのない差別を受けて地域で孤立していた。
女性が男性から被害を受けるものと考えられがちだった性暴力。昨年7月の刑法改正で、男性が受けた強制性交も罪に問えるようになった。岐阜県は新年度から性被害を受けた男性への支援を本格化。声を上げられずにいた男性被害者の救済を目指す。 男性相談員を配置、泌尿器科とも連携 岐阜市にある「ぎふ性暴力被害者支援センター」。神谷淳彦さん(70)は、今月から同センターの相談員になった。不定期でセンターの電話窓口に待機し、性暴力の被害者から相談を受ける。 13年間、県公安委員会が認定する「ぎふ犯罪被害者支援センター」の犯罪被害相談員などとして被害者の相談にのってきた。性被害者に対しても「一人一人に寄り添い、丁寧に話を聞きたい」と気持ちを新たにする。 「ぎふ性暴力被害者支援センター」には、神谷さんのような男性相談員が新年度から6人配属され、第2、第4火曜日の午後4時から8時まで相談を受ける。これまでは女性ばかり
宇佐美治さん91歳(うさみ・おさむ=元ハンセン病国賠訴訟瀬戸内原告団長)10日死去。葬儀は12日午前10時、岡山県瀬戸内市邑久町虫明6539の国立ハンセン病療養所「長島愛生園」。 愛知県出身。小学6年でハンセン病と診断され、1949年に同園に隔離された。強制隔離政策を推し進めた国の過ちを問う国賠訴…
「男から勧められたアルコールを少し飲んだら記憶がなくなった」。昨秋、20代の女性が大阪府松原市の「性暴力救援センター・大阪SACHICO」に駆け込んできた。応対した産婦人科医は事件の可能性もあると判断し、女性の同意を得て採取した尿と血液を分析したところ、睡眠薬の成分が検出された。 SACHICOによると、女性は、仕事先で知り合った男にアルコールを飲まされた。話しているうちに意識がなくなり、気付いたら2時間が経過していた。男に見送られて車に乗り込み帰宅したが、翌朝になって何らかの被害に遭った不安を感じて相談に訪れた。 当初は記憶がなかったが、次第にわいせつ行為をされた記憶が断片的によみがえり、被害を受けて3日後にようやく警察に届けた。SACHICOは女性から採取していた尿や血液を証拠として警察に提供するなど捜査に協力しているという。
宮城県は、旧優生保護法(1948~96年)に基づき不妊手術を強いられた本人にも開示していなかった県公文書館の保存資料について、本人に限って特例的に開示を認めることを決めた。同館保存の不妊手術に関する審査会議事録などの資料は「人権問題に関する個人情報がある」として100年以上の非開示期間が設定されていたため、本人が閲覧を請求しても存命中は事実上見ることができず、県も内容を把握していなかった。【遠藤大志、岩崎歩】 県は859人分の手術記録が残っていたと発表しているが、公文書館の保存資料は含まれておらず、今後の確認で増える見通し。非開示期間が同様に長期にわたる公文書館は埼玉県など他にもあり、宮城県の判断は全国に影響を与えそうだ。
イタイイタイ病の被害地域近くの神通川。中央は富山空港=富山市で2016年11月7日、本社ヘリから小関勉撮影 イタイイタイ病(イ病)の発生地域を流れる富山市の神通川の水に含まれる3種の重金属(亜鉛、鉛、ヒ素)の量が環境基準値を下回り、10年余にわたって自然界レベルを維持していることが分かった。イ病の原因物質・カドミウムは1999年に自然界値に戻ったことが判明している。被害住民が原因企業を提訴して9日で50年。72年の勝訴後に結んだ公害防止協定で、原因企業が住民側の立ち入り調査を認め、共に取り組んできた公害対策の成果だ。
広島、長崎で被爆後、出国し、1975~95年に死亡した在外被爆者の遺族約150人が国に損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は31日、賠償請求権は死後20年で消滅しているとの国の主張を認め、遺族の請求を棄却した。 絹川泰毅裁判長は、国が同じ条件の遺族175人と過去に和解している点を「不注意」としたものの、「著しく公平に反するとは言えない」などと述べた。遺族側は控訴を検討する。 原告は、韓国人被爆者31人の遺族。死亡から20~39年が経過した2010年以降に提訴していた。 国は「出国すると被爆者の地位を失う」とする1974年の旧厚生省通達が03年に廃止されるまで、健康管理手当(月約3万4000円)などを支給せず、07年の最高裁判決で違法と認定されると、提訴した在外被爆者や遺族との和解に応じてきた。
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