春は何かを始めるのに、いい季節です。京都府京丹波町の菅原研治さん(50)から、こんなファクスが届きました。 〈4月から大阪の学校で福祉学科の非常勤講師として、お世話になります〉 菅原さんは、高齢者や障害を持つ方への介護サービスなどを行う「サムライ」というNPO法人の理事です。 それにしても「サムライ」とは、福祉系の団体名にしては変わっています。理由は、後半に記された異色の経歴を読んでわかりました。 〈私は15歳で芸能事務所に入り、時代劇の『水戸黄門』や『遠山の金さん』に浪人役などで出演してきました〉 役者さんだったのです。でも、なぜ芝居から福祉の世界に? これはもう会って伺うしかありません。 「時代劇のほかには、Vシネマの『ミナミの帝王』に組幹部の役で出演したこともあります。全部、脇役、悪役ですけどね」 そう言って笑う菅原さんは、身長1メートル82、体重100キロ。「組幹部」役も適任な体格
介護の必要な高齢者が、日中を過ごす通所系サービス。事業所によって活動内容はさまざまで、正解はない。だが、家族や介護職からは「転倒防止のため車いすから立たせない事業所もある」と不満も漏れる。自分らしく生きて死ぬには何が必要で、また、何がそれを難しくしているのか。利用者の意欲を呼び覚ますため、「生きていくにはリスクもある」という、型破りな事業所を2回に分けてリポートする。(佐藤好美) ◇ 埼玉県春日部市にある介護老人保健施設「しょうわ」の昼食時間帯はにぎやかだ。通いや泊まりの利用者が、歩行器でビュッフェの列に並ぶ。この日のメニューは、カレーライスや南蛮漬けなど和洋折衷。利用者が午前中に作ったマカロニサラダやレーズンパン、すいとんは、またたく間になくなった。
名古屋市は1月、障害者向けに独自で実施している地域活動支援事業の一部の利用要件を見直した。障害者が自立して社会で生きる力をつけるための施設利用の制限につながるとして、生活支援団体などは9日、見直し撤回を求めて、河村たかし市長宛ての要望書を市に提出した。 市が1月10日付で利用要件を見直したのは、地域活動支援事業のうち「デイサービス型地域活動支援事業」。障害者が別の事業所で働いた後、夕方に利用するケースが多い。施設で給食や入浴のサービスを受け、絵や手芸などの創作活動や就労訓練をしている。 市によると、登録するデイサービス型施設は37施設。別事業所での就労とデイサービス型事業を同日利用するのは月に約100人。
自身の活動内容などについて説明する津田祥子さん(右)=滋賀県栗東市の栗東文化芸術会館さきらで、衛藤達生撮影 重度精神障害者の地域での自立を支援する専門家組織「Q-ACT(キューアクト)」=福岡=の創設メンバーを招いた講演とシンポジウム「精神障害を持つ方の地域生活を支えるために~Q-ACTの軌跡と今後の展開~」(県精神障害者家族会連合会など主催)が11日、栗東市綣2の栗東芸術文化会館さきらであった。県内外の関係者ら約150人が参加。訪問看護の重要性などについて意見を交わした。 Q-ACTのACTは包括的地域生活支援を意味する英語の略称で、1960年代に米国で生まれた考え方。連絡を受けると、看護師など専門家が利用希望者を訪問して、多様な観点から障害者が望む「自立」へ向け取り組む。Q-ACTは福岡市などで2チームが24時間365日無休で活動をしている。
県は25日、「県災害リハビリテーション支援関連団体協議会」(山梨JRAT)と大規模災害での被災者支援に関する協定を結んだ。避難所生活が48時間以上に及ぶような災害で、体調不良を起こす被災者を支援する。 JRATは昨年、リハビリ病院や理学療法士、作業療法士、介護職員などの5団体が設立した。協定では、JRATが医師をリーダーとする専門チームを避難所や仮設住宅に派遣。運動能力の維持や心労の軽減など、被災者の支援と指導に当たる。 後藤斎知事は協定を締結後、「これまで医療機関と災害時の救命救急で協定を結んできたが、避難所生活の長期化への対応は不十分だった」とした上で、「リハビリ専門家の派遣は災害関連死などを防ぐもので大変に心強い」と期待を示した。JRATの天野達也代表は「実効性のある支援を確立したい」と意欲を語った。
和歌山県美浜町を拠点に活動している引きこもりの若者らによる自助グループが、10月にもNPO法人を設立する。グループは2015年から定期的に当事者同士が語り合う集団療法に取り組んできた。当事者主体の法人化は珍しく、行政や専門家の支援で常設の相談窓口を置くなど活動の幅を広げる予定だ。【稲生陽】 新設するNPO法人の名称は「ヴィダ・リブレ」(スペイン語で『自由な生き方』)。グループは同県岩出市の病院で引きこもり外来を受け持つ精神科医、宮西照夫・和歌山大名誉教授(68)が診察した元患者ら約15人で、平均6年ほどの引きこもり経験がある。 メンバーらは15年10月に美浜町にある宮西さんの生家を改装し、研修施設「プチ家出の家」と相談施設「ヴィダ・リブレ」をオープン。当事者の集まりを月2回開き、宮西さんが開発した集団療法による引きこもり回復支援プログラムを実践してきた。プログラムでは、当事者同士の自己紹介
言語聴覚士の資格取得に向けて勉強する小林奈弓さん(右)と次男立暉さん=東京都杉並区で2016年12月4日午後3時35分、遠藤大志撮影 息子を育てた経験を生かし「サポートがしたい」 滑らかな発語が難しい吃音(きつおん)の息子を育てた経験を生かそうと、言語障害に悩む人たちを支援する「言語聴覚士」の資格取得を目指すシングルマザーがいる。2月に資格の試験に臨む東京都杉並区の小林奈弓(なゆみ)さん(47)は「自分の育児経験を生かし、吃音の子どもを持つ親のサポートもしたい」と話す。 小林さんは2003年に病気で夫を亡くし、当時3歳の長男と0歳の次男を1人で育て始めた。次男立暉(りき)さん(13)は2歳過ぎで吃音を発症した。相談機関で「愛情が足りない」と言われてショックを受け、仕事で忙しい日々を送りながらも「愛情のある子育て」に努めた。
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