厚生労働省は24日、2016年度の介護給付費が9兆2290億円となり、前の年度より1.4%増えたと発表した。要介護・要支援の認定者数は1.9%増の632万人だった。高齢化により給付費や要介護者数は過去最高を更新し続けており、今後も当面増加が続く見通しだ。介護保険制度は原則として65歳以上の要介護認定
8月1日から現役並みの高所得を得ている高齢者を対象に、介護保険サービスの自己負担が2割から3割に引き上げられる。世代間の公平性を確保するとともに、高齢者の進展に伴い膨張する一方の社会保障費を抑制するのが狙い。 負担増になるのは利用者496万人(平成28年4月現在)のうち3%弱に当たる約12万人で、単身の場合は年収340万円(年金収入だけの場合は344万円)以上、夫婦世帯の場合は463万円以上。ただ、月額4万4400円を負担の上限としており、この額を超えた場合は、負担額は3割より低くなる。 介護サービスの自己負担は12年4月の介護保険制度開始以降、原則1割負担だったが、27年8月から一定以上の所得者は2割になった。今回の3割負担の導入は昨年5月の改正介護保険関連法の成立で決まった。
高齢化がピークを迎える2040年ごろに向け、地方自治体の運営を現行の市町村単位から、近隣の複数自治体による「圏域」単位へ移行することについて、菅義偉官房長官は4日の記者会見で「自治体の意見も聞きながら、時代に対応できる仕組みをしっかりつくっていく必要がある」と述べ、前向きに検討する考えを示した。 総務省の有識者研究会が3日、働き手世代が激減すれば市町村単位では職員を確保できず、行政サービスなどが維持できなくなるとして「圏域」導入に向けた仕組みづくりを求める報告書をまとめた。菅氏は「40年ごろも今のままでいいというわけにはいかない。総務省を中心に関係省庁が連携して対応策を議論していく必要がある」と強調。政府は5日から地方制度調査会で法改正を含めた議論を始める。
《 2018.6.22 》 介護福祉士の8万円賃上げ、今秋から具体策の議論本格化へ 年内に結論 厚労省 2018年度の業界で最も大きな論点は何か? 介護職員の処遇改善はかなり有力な候補だ。これまでも常に重要な関心事であり続けてきたが、今後はその論争が一段と熱を帯びていくことになる。 厚生労働省は介護職員の賃金の動向を探る調査を今年度も行う。4月の介護報酬改定の影響を分析するとともに、「処遇改善加算」がどれくらい機能しているかを改めて把握する。21日に開催した「経営調査委員会」で説明した。近く社会保障審議会の分科会を開いて正式に決定する予定。 来年10月に実施するベテラン職員がメインの賃上げをめぐる議論も始める。幹部職員が交代する夏の人事異動の後で、今秋から本格化させる方向で調整を進めている。政府は昨年末、「柔軟な運用を認めることを前提に、勤続年数が10年以上の介護福祉士を対象に平均で月8万
介護保険制度で、要支援向けの新方式の低報酬訪問・通所介護の利用率が低いことがわかった。より重度の要介護1、2まで低報酬訪問・通所介護に含める財務省案に、自治体から「無理だ」と批判が出ている。【斎藤義彦、稲田佳代】 昨年9月、東京都北区の通所介護「フィットネスデイもあ」が閉鎖された。北区が昨春導入した新方式の通所介護の報酬が低く「収入が3割減った」(関係者)ためだ。約150人の利用者は区が他施設に移した。元利用者の女性(86)は「なぜあんないい施設が閉鎖されるのか。設備も内容もよかったのにもったいない。理解できない」と不満を漏らす。「もあ」は2003年、要支援だけを対象に運動に特化し、機器を使い2時間でリハビリしていた。国が06年に要支援の介護予防を推奨した後、流行したリハビリだ。新方式の報酬は従来より約4割低く、直撃を受けた。「国の政策を他に先駆けて行ったのにはしごを外された」と関係者は嘆
事業内容の一部改善が必要だ―。14日に厚生労働省で開かれた行政事業レビューの公開プロセスで、地域包括ケアシステムの構築や認知症の人への支援などで自治体が活用する地域支援事業交付金について、外部の有識者は「事業ごとに適切なアウトカム目標等を設定する方向で検討をすべきである」などと注文を付けた。厚労省は、成果の目標や指標の設定を含めた改善策を検討する見通しだ。【新井哉】 ■認知症初期集中支援チームなどの運営費の補助も 有識者が取り上げた地域支援事業交付金は、地域包括ケアシステムの構築に向け、▽高齢者の社会参加▽介護予防に向けた取り組み▽配食・見守りなどの生活支援体制の整備▽在宅生活を支える医療と介護の連携▽認知症の人への支援―を推進し、高齢者を地域で支える介護予防・生活支援サービス体制の構築を図ることを目的としている。 2006年度から始めた事業で、高齢化の進展に伴って予算額は増加傾向で、18
2017年の介護保険法改正では、自治体の介護予防や自立支援などに対する取り組みや目標設定を制度化し、要介護者らが長期入院する「介護療養病床」施設などの「介護医療院」への転換を促した。18年度は市町村が3年に1度策定する介護保険事業計画の第7期(18~20年度)の初年度でもある。日本経済新聞社は2~4月に実施した全国814市区(791市と東京23区)の18年度予算調査で、介護に関する対応も質問。健
2割負担は20年度以降に=後期高齢者医療で方針-政府・与党 政府・与党は22日、医療機関を受診する75歳以上の後期高齢者の窓口負担を1割から2割に引き上げる案について、2019年度は行わず20年度以降に先送りする方針を固めた。19年10月に予定している消費税率10%への引き上げを考慮し、21年度までの間で引き続き検討する見通しだ。政府関係者が明らかにした。 政府は6月に閣議決定する経済財政運営の基本指針「骨太の方針」に、新たな財政健全化計画を盛り込む予定。75歳以上の窓口負担引き上げについても、こうした方向性を示す。 現在、高齢者の医療費の自己負担は75歳以上が原則1割。政府は社会保障改革の工程表で、18年度中に75歳以上の窓口負担のあり方について結論を得ることを明記している。 70~74歳については14年度から段階的に2割に引き上げており、18年度中に完了する。財務省は、74歳から75歳
介護保険料、月5869円=全国平均6.4%増-厚労省 厚生労働省は21日、65歳以上の高齢者が支払う2018~20年度の介護保険料が、全国平均で月額5869円になるとの集計結果を発表した。15~17年度の5514円と比べて355円(6.4%)増えた。高齢化の進展に伴う介護サービス利用者の増加や、事業所に支払う報酬が今年4月から0.54%引き上げられたことが要因。 団塊の世代が全て75歳以上になる25年度には約7200円、高齢者人口がピークを迎える40年度には約9200円に上昇するとの推計も示した。 介護保険料は、全国1571の自治体と広域連合がそれぞれ3年ごとに改定する。集計によると、全体の78.0%が引き上げ、16.3%が据え置き、5.7%が引き下げた。 保険料が最も高いのは福島県葛尾村の9800円、最も安いのは北海道音威子府村の3000円。 65歳以上の高齢者は17年末時点で3475万
認知症の予防対策などを行った場合、平成46(2034)年に必要な60歳以上の介護費を約3兆2000億円抑制できることが13日、政府の試算で分かった。約14兆5000億円が見込まれる介護費の約2割を削減できることになる。健康な高齢者が増えれば拡大する社会保障費の抑制に効果があることを示し、予防医療の推進を図りたい考えだ。 高齢者の主要疾病である生活習慣病、がん、フレイル(虚弱)・認知症について、予防対策により高い効果が確認された約2000の論文を参考に分析。25年を基準にして、46年の60歳以上の介護費と医療費への予防医療の影響を調べた。 介護費の抑制には、小中学校や職場での認知症に対する理解の深化や、可能な限りの就労の継続、仕事付き高齢者向け住宅の普及などの予防対策が効果があると指摘。こうした予防対策により、日常生活に支障のある人や障害のある人を200万人以上、認知症の患者数を1000万人
介護保険料の引き上げが広がっている。日本経済新聞の調べでは、65歳以上の介護保険料は8割の市区町村で上がった。現役世代が加入する企業の健康保険組合では、全国の約1400組合のうち3割が2018年度に保険料率を引き上げた。介護給付費は過去10年間で57%増え、医療費の伸びを大きく上回る。介護保険制度の維持には給付抑制が課題だ。65歳以上の介護保険は市区町村や広域連合が運営する。保険料は介護サービ
経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)の民間議員が12日の会合で、医療・介護費の急増に備え、原則1割となっている後期高齢者の患者負担引き上げなどを念頭に、給付と負担のあり方の見直しや歳出効率化の強化などを提言することが7日、分かった。団塊世代が平成34年以降に後期高齢者となるのに備える。 昭和22〜24年生まれの団塊世代は約800万人いるとされる。順次、75歳以上の後期高齢者となるため、現在5千億円程度に抑えられている毎年度の社会保障関係費の前年度比増加額が、8千億〜9千億円程度に跳ね上がるとみられている。 こうした負担の増加を抑え、財政再建を進めるため、民間議員は平成34年には着手できるような「総合的」「重点的」な政策を検討するよう求める。 また、歳出効率化の進んだ自治体などに手厚く財政措置するインセンティブ改革や、ITを活用した業務効率化、地域ごとの医療費のばらつきなどが一目で分かる「
医療・介護業界で「惑星直列」と呼ばれていた2018年度制度改正が終わった。国レベルでは診療報酬と介護報酬、障害者福祉サービスの報酬がそれぞれ改定されたほか、都道府県では医療計画と医療費適正化計画の改定、国民健康保険の都道府県単位化に向けた手続きが進んだ。市町村でも介護保険事業計画が改定された。これらの制度改正の方向性を捉えると、医療行政に関する「都道府県の総合的なガバナンス」と、介護保険に関する市町村の「保険者機能」を強める方向で制度改正が進んでおり、医療行政に関する都道府県の役割と、介護行政についての市町村の役割がそれぞれ大きくなることは間違いない。 一方、診療報酬や介護報酬で重点分野とされた在宅ケアは医療・介護の垣根が低く、医療・介護連携など切れ目のない提供体制を構築する上では、都道府県と市町村の連携が求められる。 本レポートでは、制度改革で都道府県、市町村に期待されている役割を考察し
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