高齢化の進展で膨らむ国の社会保障費の抑制に向け、毎年議論になるのが国民負担の拡大だ。厚生労働省が来年度に向けてターゲットに見据えるのは「現役並み所得」の高齢者。医療、介護で一般の高齢者よりも自己負担の割合が高い高所得者層だが、この対象を広げるという案だ。理解を得られるよう少しずつ布石を打っている。「現役並み所得」の高齢者に照準「あれっ? 資料が増えている」。5月25日、医療保険制度改革を議論
2017年の介護保険法改正では、自治体の介護予防や自立支援などに対する取り組みや目標設定を制度化し、要介護者らが長期入院する「介護療養病床」施設などの「介護医療院」への転換を促した。18年度は市町村が3年に1度策定する介護保険事業計画の第7期(18~20年度)の初年度でもある。日本経済新聞社は2~4月に実施した全国814市区(791市と東京23区)の18年度予算調査で、介護に関する対応も質問。健
認知症の予防対策などを行った場合、平成46(2034)年に必要な60歳以上の介護費を約3兆2000億円抑制できることが13日、政府の試算で分かった。約14兆5000億円が見込まれる介護費の約2割を削減できることになる。健康な高齢者が増えれば拡大する社会保障費の抑制に効果があることを示し、予防医療の推進を図りたい考えだ。 高齢者の主要疾病である生活習慣病、がん、フレイル(虚弱)・認知症について、予防対策により高い効果が確認された約2000の論文を参考に分析。25年を基準にして、46年の60歳以上の介護費と医療費への予防医療の影響を調べた。 介護費の抑制には、小中学校や職場での認知症に対する理解の深化や、可能な限りの就労の継続、仕事付き高齢者向け住宅の普及などの予防対策が効果があると指摘。こうした予防対策により、日常生活に支障のある人や障害のある人を200万人以上、認知症の患者数を1000万人
経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)の民間議員が12日の会合で、医療・介護費の急増に備え、原則1割となっている後期高齢者の患者負担引き上げなどを念頭に、給付と負担のあり方の見直しや歳出効率化の強化などを提言することが7日、分かった。団塊世代が平成34年以降に後期高齢者となるのに備える。 昭和22〜24年生まれの団塊世代は約800万人いるとされる。順次、75歳以上の後期高齢者となるため、現在5千億円程度に抑えられている毎年度の社会保障関係費の前年度比増加額が、8千億〜9千億円程度に跳ね上がるとみられている。 こうした負担の増加を抑え、財政再建を進めるため、民間議員は平成34年には着手できるような「総合的」「重点的」な政策を検討するよう求める。 また、歳出効率化の進んだ自治体などに手厚く財政措置するインセンティブ改革や、ITを活用した業務効率化、地域ごとの医療費のばらつきなどが一目で分かる「
医療・介護業界で「惑星直列」と呼ばれていた2018年度制度改正が終わった。国レベルでは診療報酬と介護報酬、障害者福祉サービスの報酬がそれぞれ改定されたほか、都道府県では医療計画と医療費適正化計画の改定、国民健康保険の都道府県単位化に向けた手続きが進んだ。市町村でも介護保険事業計画が改定された。これらの制度改正の方向性を捉えると、医療行政に関する「都道府県の総合的なガバナンス」と、介護保険に関する市町村の「保険者機能」を強める方向で制度改正が進んでおり、医療行政に関する都道府県の役割と、介護行政についての市町村の役割がそれぞれ大きくなることは間違いない。 一方、診療報酬や介護報酬で重点分野とされた在宅ケアは医療・介護の垣根が低く、医療・介護連携など切れ目のない提供体制を構築する上では、都道府県と市町村の連携が求められる。 本レポートでは、制度改革で都道府県、市町村に期待されている役割を考察し
厚生労働省は、介護医療院の開設者に関する案をまとめた。厚労相が定める「介護医療院を開設できる者」として、病院・診療所の開設者に加え、日本赤十字社や健康保険組合などを挙げている。【新井哉】 介護医療院は、介護療養型医療施設(介護療養病床)の転換先として4月に創設される。医療機関の「全部転換」だけでなく、病棟やフロアごとなどの「一部転換」もできるため、転換を検討中の医療機関が少なくないとみられている。 ...
厚生労働省が策定した、医療機関に支払う診療報酬と、障害福祉サービスの提供に対し支給する報酬の改定案の全容が27日、分かった。診療報酬の改定案では、高齢化に伴い医療費が膨張していることを踏まえ、紹介状なしで大病院で初診を受ける際に患者が5千円以上、再診時は2500円以上の定額負担が必要な病院数を大幅に増やす。障害福祉サービスの改定案では、重度障害者や障害児への支援を充実させる。 平成30年度の報酬改定は、介護報酬のほか医療報酬、障害福祉サービス報酬改定と6年に1度の「トリプル改定」となっている。 このうち診療報酬については、紹介状なしで初診を受ける際に定額負担を支払う医療機関について、病床数の基準を現行の500床以上から400床以上に変更し、対象を262病院から410病院に拡大する。 病院の収入を増やすとともに、大病院と中小病院・診療所との機能分担を推進し、かかりつけ医の機能を強化するのが狙
厚生労働省は二十六日、二〇一八年度からの三年間、介護保険サービス事業所に支払う介護報酬の改定方針をまとめた。リハビリによって高齢者の自立支援や重度化防止を進める事業所に配分を重点化し、終末期の高齢者が増えていることを背景に、みとり対応する介護施設への報酬を加算する。経営が悪化している特別養護老人ホーム(特養)の基本的な報酬は最大3%引き上げる。 社会保障審議会の分科会に示し、了承された。自立支援に力を入れるのは、団塊世代が全員七十五歳以上となる二五年に向け、増大する介護費用の伸びを抑制するのが狙い。事業所が外部の医師や作業療法士などのリハビリ職と連携して身体機能の回復に取り組んだ際の報酬を手厚くするほか、通所介護(デイサービス)は利用者の状態が改善するなど成果を出すと加算する。
政府は、高齢化に伴う社会保障費の自然増に対する新たな抑制目標を設ける検討に入った。財務、厚生労働省などと与党で調整し、6月の骨太方針に盛り込む方針だ。 抑制幅によっては負担増に踏み込まざるを得ず、調整は難航しそうだ。 政府は2015年6月に、16~18年度の自然増を計1兆5000億円、各年度で5000億円以内に抑える目標を「目安」として閣議決定した。自然増は各年度で6300億~6700億円と見積もられ、それぞれ1300億~1700億円を削減し、目標を達成した。 16、18年度は医療サービスの値段を決める診療報酬改定で大幅に削減した。医療費には10兆円規模の国費が使われており、削減の余地が大きい。一方、17年度は医療や介護の自己負担などの制度改正で削った。
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