日本精神保健福祉士協会(PSW協会、柏木一惠会長)は6月25日、旧優生保護法による不妊手術強制問題に関連し、被害者の掘り起こしと救済支援に取り組むよう求める文書を協会の構成員に発信した。「多くのPSWが旧法時代、この問題を看過してきたのではないか」とし、今できることをしようと呼び掛けている。 旧法は1948年に制定され96年に優生手術の規定は廃止された。日本弁護士連合会によると、精神障害などを理由に旧法下で行われた不妊手術は約2万5000件で、うち約1万6500件は本人の同意がなかった。 しかし、手術記録のない人や、手術されたのを隠したい人もいることから、被害の全体像は見えにくい。国に損害賠償を求め提訴する動きが相次ぎ、与党が救済法案の国会提出を検討していることから、同協会は「私たちがなすべきことは一人でも多くの被害者に情報を届けること」としている。 (福祉関連書籍)
◆鳥取 11 遺伝性の確認、厳密に行わず <主な資料> 審査会16回分に関する議事録や申請書など。49~58年が15回分、78年が1回分。 <内容> 計16回の審査会は、約20人について不妊手術の適否を議論し、全員に「手術に適する」との結論を出した。 旧優生保護法施行令は審査会開会と議決の要件に「委員総数の2分の1以上の出席」を挙げていたが、51年3月と同6月の審査会は委員総数9人に対し、出席者が4人だった。別の1人は委任状を出していた。 また旧優生保護法は強制不妊手術の条件に対象者が「遺伝性」の病気であることを挙げていた(4条)。この規定について審査会は遺伝性を厳密に確認する方針を取っていなかったとみられる。例えば、遺伝調査書の「本人の血族中遺伝病にかかった者」の欄に「不明」と書かれたり、血族の欄に「なし」と書かれたりした対象者は8人いた。これらの審査では「この程度の遺伝調査では人権擁護
■解説 障害者らに不妊手術を強制した優生保護法(1948~96年)の成立過程をめぐる連合国軍総司令部(GHQ)の記録からは、日本が「主権」を取り戻した途端、さらに差別意識をあおる法律に塗り替えた真相も見えてきた。 52年にサンフランシスコ講和条約が発効してGHQの廃止が決まると、日本は、GHQに厳密化を求められた「遺伝性」を無視し、強制不妊の対象を、遺伝性を問わず精神・知的障害者に広げた。その条文には、GHQの指摘を受けて「遺伝性疾患」を対象に強制不妊を認めた条文に追加した「訴訟を起こす権利」の記載もなかった。 ただ、GHQ側も医学的根拠の明確化などを強く求めながら、強制不妊そのものは否定しなかった。当時、米国でも多くの州で日本ほど対象は広くはないものの強制不妊を認める法律はあった。「戦後日本の民主化」を掲げた米国の人権意識にも底が見える。 国の統計によると、強制不妊の被害者は1万6475
僕の所属している日本産婦人科医会では、「妊娠ワンストップセンター」を整備しようとさまざまな取り組みをしています。耳慣れない言葉でしょうが、計画していない妊娠に戸惑いながらも相談する方法を持たない10代の若者たちが、安心して訪れることのできる施設をイメージしてください。2016年の出生数と同年度の中絶数をみると、15歳以下で出生が189件、中絶が839件で、足し合わせたものを妊娠総数として、この年代の中絶割合は81・6%となっています。しかも、若年妊娠・出産が、生まれた子どもの虐待による死亡事例の主な要因であるなど、社会的に深刻な問題です。 10代の若者の性行動を否定するだけでは解決を図ることはできません。可能な限り性交開始時期を先延ばしするに越したことはありませんが、仮に性交が行われるのであれば、確実な避妊と性感染症予防を徹底させることが性教育の基本です。しかし、わが国の場合、10代に推奨
認定NPO法人フローレンスは13日、年次有給休暇をストックして、長期にわたる治療と仕事の両立に使用できる「安心ストック休暇」を2018年4月から施行したことを発表した。 厚生労働省が発表した「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」によると、近年の診断技術や治療方法の進歩により、かつては「不治の病」とされていた疾病においても生存率が向上し、「長く付き合う病気」に変化しつつある。 がんをはじめとする疾病は、以前は「すぐに離職して治療に専念しなければならない」というのが共通認識だった。しかしいまや、必ずしもそうではなくなってきている。仕事を持ちながらがんで通院している人の数は、32.5万人に上るという。 「治療と両立の支援」を必要としているのは、がんなどの大病に限らない。厚生労働省の発表によると、仕事と不妊治療との両立ができず、16%の方が離職している。 東京都内で働く女性
旧厚生省が優生保護法(1948~96年)下で推進した障害者らへの強制不妊手術をめぐり、初代厚生労働相を務めた坂口力(ちから)氏(84)が毎日新聞のインタビューに応じ、被害者への補償を実現する救済法について「重要だ」と明言した。来年の通常国会に救済法案の提出を目指す超党派議員連盟に「早く救済の結論が出るよう期待する」と述べた。【田所柳子】 15歳で手術を強制された宮城県の60代女性が起こした国家賠償請求訴訟では、坂口氏が厚労相時代の2004年に被害者への対応について「今後考えていきたい」と国会答弁したことが争点の一つになっている。13日に仙台地裁で開かれる第2回口頭弁論で国側は、この答弁を理由に国が救済策を怠ったとする原告の主張に対し、国家賠償法の存在を理由に救済法制定の「義務」を否定する構えだ。
優生保護法(1948~96年)の前身で、ナチス・ドイツの断種法をモデルにした国民優生法(40~48年)の法制化を積極的に進めた日本民族衛生学会(現・日本健康学会、渡辺知保理事長)が、法案作成への関与やその後の対応について検証を始めた。年内をめどに資料などの調査を終え、見解をまとめる。「優生」に関わった国内の学会のうち、自らの関与を検証する試みは初めて。他の学会にも影響を与えそうだ。(社会面に「科学の名の下に」) 民族衛生学会は30年、東京帝国大教授で生理学者の永井潜氏を中心に創設。世俗的な優生思想を学問的な優生学に高めることを目指し、「遺伝性疾患」を不妊手術の対象とする断種法の制定運動も展開した。議員提案された法案を起草し、障害者らを対象にした不妊手術を推進する国民優生法の成立につながった。
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