子どもたちの自殺やいじめを防ぐため、LINEなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使った相談を受け付ける自治体が急速に広がっている。朝日新聞が都道府県と政令指定市の67自治体に尋ねたところ、「既に実施」「実施予定」との答えが全体の5割にあたる34自治体に上った。自治体側は「一人で悩まず、気軽に相談してほしい」と呼びかけている。 調査は7~8月、47都道府県と20政令指定市の教育委員会などの担当部署に、主に高校生までを対象にしたSNS相談の予定や実施時期を聞いた。「既に始めた」「取り組む予定」と答えたのは福島県や和歌山県、熊本県、三重県など34自治体だった。相談には25自治体が無料通信アプリ「LINE」を使うとし、5自治体は匿名でいじめなどを通報するアプリを使うとした。 相談の実施時期や対象者は自治体によって幅があるが、その多くが夏休み中か、その前後の期間を含めていた。夏休
今年3月、全国の警察が児童相談所に虐待の疑いがあると通告した子どもの数は04年以来13年連続で増加していると警察庁が発表した。保護者と子どもに一体何が起きているのか。長年、虐待をはじめ、家族や子育てをテーマに取材を続け、『児童虐待から考える』(朝日新書)を上梓したルポライターの杉山春氏に「虐待をしてしまう親の特徴」「虐待を減らすためには」「虐待が社会に訴えるもの」などについて話を聞いた。 ――今回の本に限らず、これまでにも『家族幻想:「ひきこもり」から問う』(ちくま新書)など家族や子育てをテーマにした取材をされています。その理由や、その中での本書の位置づけを教えてください。 杉山:バブルが崩壊した1990年以降、それまで育児誌などのメディアであまり目にしなかった「子どもを叩いてしまう」といった読者投稿や、うまくいかない子育てをテーマにした漫画などが度々掲載され、子育ての大変さが注目されるよ
小中学生向けのファッション誌『ニコラ』(新潮社)5月号の読者投稿コーナー「JCライフ」に、母親から暴力を振るわれているという相談が寄せられた。投稿した中学2年生の女の子は、母親が「いつもは優しいのですが、怒るとかなり怖い」そうで、 「叩くことは日常茶飯事ですし(怒っているときだけです、もちろん)、この間は朝8時くらいまでゆっくりしてたら、けられてしばらく歩けなかったり…」 と告白。母親に暴力の理由を聞くと「しつけしてるつもり」という答えが返ってきたが、 「でも、それは本当にしつけなんでしょうか?」 と疑問に思っているという。 児童相談所の担当者「叩いたり、蹴ったりするのは身体的虐待」 ニコラ5月号 蹴られて歩けなくなるというのは虐待の可能性が高い。しかし相談に答えた「ニコラにーさん」という編集者の男性は、次のように答えている。 「ちょっとさ『朝8時くらいまでゆっくり』を変えて、『朝8時には
夫婦げんかや自分の看病…「ぼくがいるとたいへんだ」 子の成長、親が幸せでいてこそ 社会全体で支援を 子どもを預けられるところがない、熱が出てしまったけれど仕事は休めない…。そんなお母さんたちを見ている子どもがぽつりと言います。「ぼく、うまれてわるかったなぁ」。「ハガネの女」「カンナさーん!」などで知られ、ツイッターで「夜廻り猫」を発表してきた漫画家の深谷かほるさんが「子どもの思い」を描きました。 夫婦げんかや自分の看病…「ぼくがいるとたいへんだ」 長男が生まれて、子育て中の夫婦。お母さんが「子どもをどこに預けたらいいの?仕事が探せない」と困っています。 預け先の保育ママからは「泣きっぱなしだったわー」と言われ、すぐさま「すみません!」と謝ります。 子どもが熱を出した日の朝、お父さんは「俺は休めないよ」。思わずお母さんも「私だって!」と言い返します。 きょうも夜周りする猫の遠藤平蔵は、心の涙
そのとき、背後の公園からひどく酩酊した中学生程度の男子が千鳥足で出てきて、隣にある公団住宅の駐車場に倒れ込んだ。そこではもう2人、同世代の男子が寝転び、焦点の合わない目で宙を見つめ、その周りをいずれかの弟とおぼしき幼い男児がケラケラと笑いながら走り回っている―― 多くの人がイメージする工業地帯・川崎を象徴する写真がカバーとなった『ルポ 川崎』。しかし、その内容は我々の予想を軽く凌駕する過酷な貧困の実態を伝えている これは『ルポ 川崎』(サイゾー刊)で描かれた川崎区日進町の光景だ。 不良勢力の頂点は暴力団で、劣悪な環境から抜け出す手段は、ヤクザになるか、職人になるか、捕まるか。中学時代に強盗で逮捕された経験を持つラッパーが登場し、彼らの口からは「日本刀持った友達の親に追いかけられた」「親戚のヤクザの指詰めを手伝った」という子供時代の思い出が語られる。「産業道路の向こう側なんて、中学生のポン中
若者の自殺が減らない。 他の年代は2000年前後をピークに改善傾向にあるが、若者層は様子が違う。昨年は20歳未満の自殺者が556人と、前年に比べて7%増えた。20代も減り方が鈍く、なお年間2千人を大きく上回る。先進国の中で日本の若者の自殺率は高く、深刻な状況にある。 考えられる原因は、家庭内の不和、進学・就職の失敗、いじめ、性の問題と多岐にわたる。学校、自治体、警察などの連携を、さらに強めてほしい。 難しいのは、本人が周囲になかなか悩みを打ち明けないことだ。国立大生の過去23年分の自死事例を分析した福島大の内田千代子教授によると、ほとんどが学内の相談窓口も、精神科の医者も訪れていなかった。 追いつめられたときに助けを求めようと思えるかどうかが、生死を大きく左右する。 その観点から「SOSの出し方教育」に注目したい。 先がけは東京都足立区だ。9年前から特別授業「自分を大切にしよう」を小中高で
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