「フィリピンで暮らす視覚障がい者の学習環境を改善したい」。この思いから、クラウドファンディング(不特定多数の人から資金を集めること)プロジェクトを立ち上げたNPO職員がいる。認定NPO 法人フリー・ザ・チルドレンの石田由香理さん(27)だ。石田さんは1歳3カ月のときに網膜芽細胞腫(眼球の中に発生する悪性腫瘍)で両眼を摘出し、全盲になった。 ■全盲になったら家族に捨てられた フィリピンの小学校入学率は96%だが、視覚障がい者に限ると95%は学校に通った経験すらないという。高校まで進む人は1%以下だ。「それどころか、地方になると、視覚障がい者の40%近くが障がいをもっていると分かった時点で家族から捨てられ、教会で育っている。障がい者は何もできないから教育を受けても仕方がない、とフィリピンでは思われている」と石田さんは話す。 石田さんは国際基督教大学(ICU)の学生だった2010年3月、フリー・
くりぬいた板の教材や発声訓練用の模型などを見る岡本明・筑波技術大名誉教授(左)と菊島良治・山梨県立盲学校校長=甲府市下飯田2の同校で2016年10月、後藤豪撮影 目と耳の両方が不自由な盲ろう児の教育を1950~60年代に、国内で初めて系統的に実践した山梨県立盲学校(甲府市)で、当時の資料のデータベース化が進められている。教材・教具、授業記録のほか、寮での生活記録などが詳細に残り、現在の盲ろう児教育の基礎となった先進的な取り組みの様子が分かる。劣化が進んでおり、関係者は「貴重な記録を後世に残したい」と話している。【後藤豪】 「はに わたを いれて きれいに する」「ぴんせっとを はえ(へ) いれる」
式典で挨拶する宍戸理事長独立行政法人国立特別支援教育総合研究所は、免許状保有率が低い視覚障害・聴覚障害の教育領域で、インターネットを利用した免許法認定通信教育を10月に開講した。それに伴い、10月19日、神奈川県横須賀市にある同研究所で、免許法認定通信教育開講記念式典を開催。特別支援学校教員についての政策動向や免許法認定通信教育事業の概要が説明された。義家弘介文科副大臣はビデオメッセージで、同通信教育への期待を述べ、特別支援教育に力を入れ続けていく意向を示した。 同研究所の宍戸和成理事長は「特別支援学校教諭の免許状取得率向上を図ることで、特別支援教育の充実にも寄与できると思っている」と述べた。 文科省が平成28年8月に公表した「平成27年度特別支援学校教員の特別支援学校教諭等免許状保有状況等調査の結果について」によると、昨年5月1日現在、特別支援学校教員(6万5559 人)のうち、当該障害
盲学校では国内5番目の開設で、早くから視覚障害者の教育に取り組んできた県立岐阜盲学校(岐阜市北野町)の創設者、森巻耳(けんじ、1855~1914)について、学校の児童生徒らがよりよく知ることができるようにと、同校が伝記を発行した。自らも失明しながら学校の開設に奔走した姿が、子どもたちにもわかりやすく描かれている。 巻耳は1855年、金沢市生まれ。87年に現在の岐阜高校の英語などの教師として赴任したが、翌年、33歳で眼病を患った。91年に岐阜、愛知などで7千人以上の死者が出た濃尾地震を機に視覚障害者の支援に力を注ぐようになり、94年に岐阜盲学校の前身「岐阜聖公会訓盲院」を開院し、初代校長となった。このころには巻耳自身も、両目ともに失明していた。 そんな巻耳の生涯を伝えようと、子ども向けに伝記をまとめたのが同校の図書館司書、小沢純子さん。1994年に発行された「岐阜盲学校百年史」などで巻耳の生
全国の特別支援学校の今年度の学校数は1106校で昨年度から8校減った。一方、在学者は過去最高を更新して13万7939人に上ることが、文部科学省が5月1日時点でまとめた学校基本調査(速報)で分かった。 特別支援学校を種別ごとにみると、「知的障害」が昨年度から6校増えて538校(在学者8万7322人)となり最も多い。複数の障害種別を組み合わせた「その他」は昨年度から8校減の232校(同3万7879人)。「視覚障害」は昨年度と同じ63校(同2050人)。「聴覚障害」は1校減の86校(同4857人)。「肢体不自由」は2校減の129校(同3556人)。「病弱・身体虚弱」が3校減の58校(同2275人)。 なお、全国盲学校長会は6月、視覚障害者に対する教育を行う特別支援学校は全国67校で、在籍者は2863人(昨年度比138人減)と発表している。
モリサワは20日、グループ企業のタイプバンクが開発して販売する、ICT教育の現場に効果的なユニバーサルデザイン書体「UDデジタル教科書体」を発表した。 「UDデジタル教科書体」は学習指導要領に準拠し、書き方の方向や点・ハライの形状を保ちながらも、太さの強弱を抑え、ロービジョン(弱視)、ディスレクシア(読み書き障害)に配慮したデザイン。また、今年度から施行された障害者差別解消法の理念に基づき設計されている。 発表会で登壇したタイプバンクの高田裕美氏は、開発の背景とデザインコンセプトについて、「弱視の子どもたちにとって“明朝体”や“教科書体”は太さに変化があって見づらい。見やすいのは“ゴシック体”だが、もともと印刷用のフォントのため正確でないところがある。“UDデジタル教科書体”は、教育現場に相応しい教科書体の良さを活かし、線の太さを一定にて、電子黒板などでの利用時に遠くからでも見やすいデザイ
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