安倍政権の「幻」に身を委ねた日本~菅政権は「幻」を継承するのか 少子高齢化、借金、原発……。そして、国力の衰退から目をそむけた安全保障論 大野博人 元新聞記者 日本人にとって安倍政権とは、「幻」を供給する装置だったのではないか。 8年近くにわたり、視界から深刻な現実を遠ざけ、自分たちの社会がまだまだ若くて、力強くて、豊かであるかのような幻を見せ続けてくれた政権。だから支持した。 だが現実の問題は幻で解決しない。むしろ一層深刻になった。 深刻な現実とは何か。少なくとも3つある。 問題の核心は「国民不足」 まず急激な少子高齢化という人口動態の危機。第二に、途方もない規模に積み上がった国の借金。第三に、袋小路に追い込まれた原発問題。 いずれも身も蓋もない現実である。そしてどれも出口が見えない。 人口は減っているだけではない。急速に老い続けている。あと3年もすれば日本人の半分が50歳以上になる。こ