内閣府の有識者検討会が大きな噴火への広域避難体制整備などを早急に進めるよう国に求めた。火山防災の強化が急がれる背景には、東日本大震災で大規模噴火が誘発されることへの警戒感がある。世界で20世紀以降に起きた計5回のマグニチュード(M)9級の巨大地震では、その後に例外なく周辺で大噴火が起きているからだ。 日本でも9世紀に東北地方で貞観(じょうがん)地震(M8・4)が起きた後、鳥海山(秋田・山形)の噴火や十和田(青森・秋田)の大規模噴火が発生。大震災以降は列島の地殻活動が活発化し、浅間山(群馬・長野)や箱根山(神奈川)など20火山で地震の増加が観測された。 中でも今後の活動が注目されるのは富士山だ。1707年に南海トラフの大地震に連動して大規模な宝永噴火が発生して以来、約300年間にわたって静穏期が続いており、次の噴火に向けてマグマが蓄積されている可能性が高い。 現在は差し迫った状態ではないが、