だるさや息切れ、痰(たん)が絡みやすい-。そんな症状が長く続いていれば、肺への感染症を疑ってもいいかもしれない。土の中や水回りに潜む細菌が引き起こす「肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)」と呼ばれる疾患が近年、主に中高年の女性で増えているという。(佐橋大) 非結核性抗酸菌は、抗酸菌と呼ばれる菌のグループのうち、結核菌と、ハンセン病を起こす「らい菌」を除く菌の総称。これにより引き起こされるのが肺NTM症だ。土の中や浴室のシャワーヘッド、給湯口などに生息する菌を含んだほこりや水滴を吸い込むことで、かかりやすい体質の人が感染するとされている。 「結核と違い、ゆっくり、静かに進行するので、患者も症状に気付きにくい。知名度の低さから、これまでは専門の医療機関につながりにくかった面もある」。国立病院機構東名古屋病院(名古屋市)呼吸器内科統括診療部長の中川拓さん(51)=写真=は指摘する。