前項で述べたようにジャイアンのファンタジーには「本人に現実逃避や代償満足などの利得がある」という特徴がある。その結果として、「ファンタジーに引きこもる」という経過がたびたび見られ、表面上は「難治性の妄想」という見かけとなる。 「妄想性障害」という病気がある。中年以降のどちらかと言えば活発で知能程度も高い人で、妄想以外には全く問題なく日常生活を送れる。パートナーへの嫉妬妄想や誇大妄想など、妄想内容はいろいろあるが、「抗精神病薬が効かない」という風に一般には言われている。 50代以降の女性では「退行期妄想症」という呼び方をされる一群もあり、この場合はスルピリド150mg程度の少量が著効することがある。 この妄想性障害は、もともと知能程度の高い強迫的な性格の人が多く、また自分が病気と考えていないので、当然治療は容易ではない。そのまま妄想だと言えば主治医と患者の関係も成り立たない場合が多い。結果多