すべてはRCTから 統計のハッキングについて説明する準備として、まずは素朴な統計学の説明をいくらかしておこう。医学統計の手法は無数にあるが、そのうち特に重視されているのがランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial; RCT)だ。簡単に言ってこういうことをする。 1. ほどよい数の患者を集める。 2. 患者をランダムに2グループに振り分ける。 3. 一方のグループにはある薬を飲ませ、他方には飲ませない。 4. 薬を飲んだグループのほうがよく治っていれば、薬が効いたと言える。 この説明は極限まで単純化したものだ。実際には心理的な効果を想定してニセの薬(プラセボ)を飲ませたりもするし、評価に先入観を与えないために二重盲検法を使うことも多い。そういう細かい話に興味がある人は医学統計の教科書を読んでほしい。高校数学の確率と統計を理解していれば十分読めるはずだ。 ここで