大地に吹く風に虫の羽音のようなプロペラ音が入り混じる。 空に浮かぶラジコンヘリのような無人機は宅配便の荷物の代わりに円筒形の爆弾を運んでいた。 生活の場で、物流の場で人の営みを助ける無人機はウクライナの大地で殺人兵器と化していた。 史上かつてないほど大規模に戦場に投入され、現代の戦闘の様相を変えた。 その「無人機の戦争」は今、各国の戦略に影響を及ぼし始めている。 (国際部 山下涼太 髙塚奈緒 / アジア総局 鈴木陽平 / 社会部 須田唯嗣 山崎啓) “有効性を証明した” 画面中央の照準のような印は遠方を走る戦車を捉えていた。上空からの映像はみるみるうちに戦車に迫り、衝突の瞬間、ノイズ画面に切り替わった。 ウクライナの戦場で撮影された無人機の自爆攻撃の瞬間だ。 ロシア軍の無人機による攻撃 別の映像には上空から爆発物を投下して塹壕を爆破する状況が記録されている。これらの動画はウクライナ、ロシア