一九七四年の米兵による「伊江島住民狙撃事件」で当初、「公務外」の事件として日本側に裁判権を譲っていた米側が、突如、「公務中」だったとして日本側から裁判権を取り上げた詳細な経過が、米政府解禁文書で分かりました。米軍の特権的地位を定めた日米地位協定の下で、米側が「公務証明書」を恣意(しい)的に発行すれば、日本側から裁判権を奪える仕組みになっていることを示すものです。 解禁文書は、国際問題研究者の新原昭治氏が三月から四月にかけて米国立公文書館で入手したもの。十七日に都内で開かれた日本平和委員会主催の学習会での講演で明らかにしました。 日米地位協定は、米兵が犯した罪が「公務中」であれば裁判権を行使する第一次の権利は米側にあると規定しています(一七条3項a)。「公務中」との認定は、米軍指揮官が「公務証明書」を発行すればいいだけです。 「公務証明書」に対し日本政府が過去に反証したことがあるのはわずか二