【ベルリン=宮本隆彦】DPA通信によると、現代ドイツを代表する作家で、ノーベル文学賞受賞者のギュンター・グラス氏が十三日、自宅近くのドイツ北部リューベックの病院で感染症のため死去した。八十七歳だった。一九五九年に発表した初の小説「ブリキの太鼓」は、三歳で成長を止めた子どもの目でナチズムに染まる社会を描き、歴史と向き合うドイツを代表する存在とされた。 二七年、ダンチヒ(現ポーランド領グダニスク)生まれ。炭鉱労働者や石工などの職を転々とした。五六年にパリに移り、四年がかりで書き上げた初の長編「ブリキの太鼓」が世界的なベストセラーに。「陽気で不吉な寓話(ぐうわ)が、歴史の忘れられた表情を描いた」として、九九年のノーベル文学賞を受賞した。