相変わらず沖縄の米軍普天間基地の移設問題をめぐっての論議が盛んである。沖縄では「県外・国外への移設」が県民世論の大勢とされるが、本土のマスメディアを席巻しているのは「安全保障の見地からみて、やはり移設先は沖縄県内にすべきだ」といった主張である。沖縄こそ戦略的に最良の場所なのだから、日米安保の維持のためには、沖縄県民に我慢してもらう以外にない、というわけだ。 しかし、本書はこうした主張を「根拠がない」として一蹴する。著者によれば、米軍自身が「米軍基地は沖縄だけでなくてもいい」と言っているというのだ。 本書については、すでに09年12月26日付の当ブログに載った「普天間基地は佐賀空港へなぜ行けないのか」の中で田畑光永氏が触れておられるが、本書は沖縄の基地問題を論ずる上で多くの示唆を与えてくれるので、改めてその内容の一端を紹介したい。 筆者の屋良朝博氏は沖縄タイムス社の論説委員。同社を休職し、0