紅衛兵は中国の文化大革命にとって欠かせない存在だった。毛沢東思想に踊らされるまま、実権派と呼ばれる政治家や共鳴する文化人らをつるし上げる。ときにはリンチを加え、権力闘争の片棒を担いだ。精神的に未熟なだけに、恐るべき若者集団だった。 ▼それから40年以上がたち、その元紅衛兵たちが「被害者」に謝罪を始めているという。北京の中高一貫校では、年老いた元教師8人に集まってもらい「公開の場で傷つけて申しわけない」と謝った。安徽省では母親を密告し処刑させた元紅衛兵の懺悔(ざんげ)が報道された。 ▼本紙国際面のコラム「上海余話」によれば、このところそうした謝罪報道がしきりだという。元紅衛兵といってもほとんどがもう60代だ。さすがに「若気の至り」では済まない自らの愚かしさに気付いたのかと思った。だが、そう単純ではないらしい。 ▼ある大学教授によれば、懺悔報道をしている多くは中国共産党の改革派に近い新聞だとい