奈良県山添村の「自作寺」の仏像盗難事件で、寺に返還され修繕中の不動明王像(高さ約60センチ)の内部から、制作者とみられる人名などが記されたヒノキの木片1片(縦約8センチ、横約4センチ)が発見されていたことが8日、関係者の話で分かった。江戸時代の「元禄五年」(1692年)という記載もあり、不動明王像が「江戸時代から村にあった」と住民らが代々伝え聞いている話とも合致。盗難事件が、地元の言い伝えを証明するという意外な結果をもたらした。 不動明王像は、自作寺から他の3体の仏像とともに盗んだとして起訴された奈良市北袋町、浄水器販売業、金振清隆容疑者(62)=別の仏像窃盗容疑で再逮捕=が売却した京都市内の古物商から、県警が押収して寺に返還。ひび割れなどがあったため修繕作業を行ったところ、体内から木片が見つかった。 県警によると、木片には墨字が鮮明に残り、両面に「元禄五年」、「大佛師新八心 申十二月七日