新型コロナウイルスのデルタ株は、規定回数のワクチンを接種した人の鼻腔でも、ワクチンをまったく接種していないときと同じように増殖しうることが、8月11日付けで発表された予備的研究の実験で確かめられた。増殖したウイルスが人に感染しうる点についても同程度だった。つまり、ワクチン接種を終えた人もウイルスを他人に感染させる可能性があるということだ。その可能性はあるだろうとこれまで多くの専門家が考えて
カナダ、ケベック市にあるメディカゴ社の温室で、ワクチンをつくるタバコ属の植物をチェックするスタッフ。(PHOTOGRAPH BY MATHIEU BELANGER, REUTERS) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)によって、世界各国のワクチン生産能力の大きな格差が明らかになった。現在のワクチン生産方法は、高額で複雑だ。そのため、ワクチンを生産できるのはひと握りの国々に限られるうえ、そのような国々でさえ、頻発する汚染と品質管理の課題に直面してきた。 既存のワクチンには、マイナス60℃もの超低温で輸送、保管しなければならないものもある。こうしたワクチンの低温流通システム(コールドチェーン)は、高コストなだけでなく、へき地のコミュニティやインフラが不十分な国々にとって流通の大きな障壁になっている。 その打開策は、ワクチン生産に植物を利用することだ、と考
日本のワクチン開発の実力は? 【Q6】日本のワクチン開発技術は世界の中でどのあたりに位置しているのでしょう。 【A6】技術力は決して劣ってはいません。ただ、マンパワーとインフラの面で圧倒的な遅れを取っています。研究費がなければ研究者は育ちません。そのため優秀な人材は海外に引き抜かれたり、国内に残った貴重な研究者も、少ない予算を切り詰めて研究するしかないのです。 研究施設にしても同様で、日本にはBSL4(バイオセーフティーレベル4=ウイルスや細菌などの微生物を安全に取り扱うことのできる最高水準の施設)は国立感染症研究所と今年の夏に竣工予定の長崎大学の2カ所しかありません。新型コロナが落ち着いたとしても、いつエボラやラッサなどの危険なウイルスが入って来るかも分からない中で、その体制はあまりにも脆弱過ぎるといえるでしょう。 長野県で行われた新型コロナワクチンの在宅接種(4月21日) ©️AFLO
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