環太平洋連携協定(TPP)の承認案と関連法案は九日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立する公算だ。本紙は承認案について、コメ、麦を含む「重要五項目」の関税を維持する「聖域の確保」などを求めた国会決議に反する疑いがあると報じてきた。TPPの事前協議に日本政府の交渉官として携わった明治大学農学部の作山巧(さくやまたくみ)准教授(50)=貿易政策論=は本紙の取材に、重要部分で明白な決議違反があると語った。(清水俊介) 農水省の国際交渉官として二〇〇七年から、経済連携協定などの交渉を担当した作山氏は一〇年十二月からTPP専従に。他の参加国からの情報収集や交渉参加に向けた事前協議を担当した。一三年三月に安倍晋三首相がTPP交渉参加を表明した後、退官した。