4月に放送されたプライムニュースの中で、東野篤子が、EU議会が2019年に採択した第二次世界大戦の新しい歴史認識について触れていた。今回のウクライナ戦争ときわめて密接に関係するイデオロギー的問題であり、まさに核心をなす重大な思想的契機である。「ヨーロッパの未来のためのヨーロッパの記憶の重要性」と題された決議だ。日本では広く知られておらず、紹介も議論もほとんどされていない。したがってネットの中に知見となる十分な資料もない。手探りで調べ始めたところだが、正直、恐ろしい思想的事実の前に衝撃を受けている。 簡単に言えば、EUは第二次世界大戦の歴史認識を変え、「ファシズムvs反ファシズムの戦い」として総括していた歴史を、「二つの全体主義の戦い」として新しく定義し直した。従来は、ファシズムの暴虐と侵略に対して、自由主義と社会主義が反ファシズムの連合を組んで戦い、ファシズムを打倒して正義を実現した戦争だ