REDDY 多様性の経済学 Research on Economy, Disability and DiversitY 私たちが救護施設に出会うまで 第7回 小林エリコ 妻と子供を事故で失い、アルコール依存症になった僕 僕の父親はアル中だった。 黄桜の一升瓶を片手にぐびぐびと喉を鳴らす。 酒が切れると、五千円札を寄こしてこう言った。 「それでつまみと酒を買ってこい」 父から投げつけられたお金を手にし、リュックに空になった酒瓶を背負い、商店街に向かう。お総菜屋さんに行き、父が好んで食べているジャンボシューマイを買った。 それだけでは満足してくれそうにないので、商店街をうろついていたら魚屋のおじさんが声をかけてきた。 「タカちゃんじゃないか。何を探してるんだい?」 僕はなるべく元気に答えた。 「お父さんのおつまみを買いに来たんだ」 そういうと、おじさんはケースからカニを取り出した。 「これなん