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あとがき、はしがき、はじめに、おわりに、解説などのページをご紹介します。気軽にページをめくる感覚で、ぜひ本の雰囲気を感じてください。目次などの概要は「書誌情報」からもご覧いただけます。 アラン・シュピオ 著 橋本一径 翻訳、嵩さやか 監修 『フィラデルフィアの精神 グローバル市場に立ち向かう社会正義』 →〈「訳者あとがき」と「附録 フィラデルフィア宣言全文」(pdfファイルへのリンク)〉 →〈目次・書誌情報はこちら〉 訳者あとがき 国際労働機関(ILO)による一九四四年の「フィラデルフィア宣言」は、「労働は商品ではない」ことを確認した文書として、とりわけ労働法の分野において、その重要性が近年とみに再認識されている宣言である(1)。本書はこの宣言が、労働問題という枠組みを超えて、一七八九年のフランス人権宣言や、一九四八年の世界人権宣言などと並ぶような、人権の発展の歴史におけるメルクマールであ
経済学にそびえたつ難題 現在の世界で「今の時代を代表する経済学は?」と問われても、そこにはアナリストの金融分析や経済行動の豆知識などが混在しているだけの印象があって、何かその背骨のようなものが見えにくい。 少し前の時代だと、中央にケインズ経済学が一本の幹のように存在しており、一般の人でもそうしたアカデミックな世界のトップ理論について知ることで、頭の中に座標軸が定まって経済全体が一つのビジョンに収まるという感覚を得られていた。 そこで現在の大学内での状況を眺めると、今の経済学でそうしたトップ理論の地位にあるのは、マクロ経済学の「動学的マクロ均衡理論」である。ところが一昔前にはケインズ経済学の一般向け解説書が新書版でたくさん出ていたのとは違って、これに関してはそういうものがさっぱり見当たらない。 その理由は一つには、この最新理論が高度な数学を使っていて、その数学部分がわからないと解説自体が不可
「私の思想は、異端である」と著者は述べる。しかし、その異端とは著者が謙遜するような「世には受け入れられることのない異端」ではない。理論経済学者の宇沢弘文氏の言葉を借りるなら、「現実におきつつある経済的、社会的問題をもはや解明することはできなくなってきた正統派の考え方を批判し、否定し、そこに新しい方向を見出そうとする」(同氏訳、ジョーン・ロビンソン『異端の経済学』あとがき)、歴史の画期(分かれ道)に期待される異端である。 著者が批判する新自由主義という名の正統派は「競争原理にもとづく市場経済」を、商品の分野だけではなく、共同負担によって共同の困難を解決する財政にまで一元的に拡大し、「分かち合い」を否定して人間が生きる基盤の破壊を続けてきた。 同時に、新自由主義の常套手段である規制緩和や民営化は技術革新に果敢にチャレンジする企業よりも、人件費を削減し人間を切り捨てる「無慈悲な企業」の活動を奨励
松尾さんのサイトで紹介されていたので購入。松尾匡・橋本貴彦『これからのマルクス経済学入門』(筑摩書房)は、昔の『近代の復権』のリニューアル版という感じもありますが、細かいところも結構興味深い論点があって、一気に読みました。 http://matsuo-tadasu.ptu.jp/essay__160314.html なにしろ、 搾取と貧困が深刻化する今、「階級」「疎外」「労働価値説」「唯物史観」といった、マルクス経済学の基礎概念を再検討し、現代的な意義を明らかにする、画期的な書! ですからね。 一見とてつもなく時代遅れでアウトオブデートな議論に見えて、実は世に横行する諸々の議論よりもずっとアクチュアルな概念であることを見事に論証していく手際がかっこいい。 そしてそれが実は、例えば松尾流疎外論が、昨今どこかで話題になっている「意識高い系」に対する根底的な批判になっていたりするわけです。 ・・
アンソニー・アトキンソンは、経済学者のなかでも独特の位置を占める。過去半世紀にわたり、アトキンソンは主流トレンドに刃向かって、不平等の問題を自分の研究の中心に据えつつ、経済学がまず何よりも社会道徳科学なのだということを実証してみせた。その新著『21世紀の不平等』――これまでの著書よりも個人的で、行動計画に完全に専念した本だ――において彼は新しいラディカルな改革主義の大胆な概略を述べている。 アトキンソンの改革主義には、進歩的なイギリスの社会改革者ウィリアム・ベヴァリッジを思わせるものがある。読者は、彼のアイデア提示の方法を楽しんでほしい。この伝説的なまでに慎重なイギリスの学者は、本書ではもっと人間的な側面をあらわにして、論争に身を投じ、具体的で革新的で説得力ある提案の一覧を提示する。それは別のやり方がまだ存在すること、社会進歩と平等への戦いが正当性を回復せねばならないこと、それもいま、ここ
駒村康平さんより新著『中間層消滅』(角川新書)をお送りいただきました。ありがとうございます。 駒村さんからは昨年『日本の年金』(岩波新書)も頂いていますが、こちらはきちんと正座した解説という感じなのに対して、本書は、以前同じ角川レーベルから出した『大貧困社会』と同様、やや風呂敷を広げ気味に、格差問題、社会保障のなんたるかを説いている本になっています。 http://www.kadokawa.co.jp/product/301411000789/ 社会経済構造の大変化の中、社会保障制度は壊れ、所得格差が世界的規模で拡大している。トリクルダウン神話が崩壊した今、安定社会の重石たる中間層の消滅をいかに止めるべきか。歴史的視点から処方箋を考えていく。 ポランニーからピケティからいろいろ出てきますが、読み終えて一番心に残っているのは、前横浜副市長の前田正子さんの寿町のエピソードと、そして「おわりに」
未読ですが、「ルールに従う」も話題になったジョセフ・ヒースの前著です。経済学と銘打たれていますが、彼個人は経済学の正式な教育さえ受けていないと書いています。しかし通読すれば分かるとおり、明らかに経済学に関する深い理解と違和感をもとに本書を書いています。左右両側への口撃はややわら人形論法な印象を最初受けましたが、述べられている意見は、まっとうなやり方をしかるべき対象にするという、いとも簡単で、そして難しいものです。 資本主義が嫌いな人のための経済学 作者: ジョセフ・ヒース,栗原百代 出版社/メーカー: エヌティティ出版 発売日: 2012/02/09 メディア: 単行本 購入: 20人 クリック: 834回 この商品を含むブログ (13件) を見る プロローグ 資本主義の批判者はお世辞にも経済学をきちんと学んできたとはいえない。 この結果として残念なことが二つある。 一つは、左派のほとんど
20世紀の人間科学・社会科学を再考する ジョセフ・ヒース『ルールに従う』を訳して 瀧澤 弘和/中央大学経済学部教授 専門分野 ゲーム理論、実験経済学、経済学の哲学 本ページの英語版はこちら 先頃私は、ジョセフ・ヒースの『ルールに従う:社会科学の規範理論序説』の翻訳を上梓した。この本をいずれかの分野に分類しなければならないとしたら哲学書ということになろう。私のもともとの専門分野はゲーム理論、実験ゲーム理論であるから、なぜ私が同書を翻訳したのかを訝しく思う向きもあろう。実際、以下でも述べるように本書の議論は、哲学のみならず、社会学、心理学、進化生物学等々の分野をまたぐものであり、すべてではないにしても引用されている文献を理解しながら翻訳を進めることは、私にとって相当時間を要する作業であった。しかし、その後同書に寄せられたさまざまなコメント(その中には「ここ10年で最も重要な文献」という望外のも
■市場原理に委ねられないもの 2年前、脳栓塞(せんそく)に倒れた。「東日本大震災のすぐ後でした。被災地の惨状に感情が高ぶったのかもしれません」と妻の浩子さん(83)。読むこと聞くことに支障はないが、書いたり話したりがむずかしい。 記者の取材にも、言葉でなく左手で応じる。「その答えはこの本に」。言葉の代わりに、左指で該当する自著の表紙をトントンと叩(たた)いた。 療養中ゆえ、本著も書き下ろしではない。10年前に刊行した『経済学と人間の心』に講演録を加えた。 収めたのは、1978年から2010年にかけての論考20編。全編を経済学に対する不全感が貫く。「現実経済を解き明かせていない」「人々を幸福にするという本来の役割を忘れている」。戦後日本を代表する経済学者でノーベル賞候補にも擬せられた宿学にして、この焦燥感である。声高なだけの理論をだれよりも多く見抜いてきたせいだろう。 なかでもシカゴ大で同僚
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