外資系のIT関連会社で、優秀な女性が次々と辞めていった。将来を憂えた会社の調査部門が、なぜ辞職したのか退職者に理由を問いただす。「ここで働いていても安心できる将来が見えてこない」と答える人は、残念ではあったが、先行き不透明な新興会社として納得できる部分もあった。しかし、首をかしげてしまう理由があった。 「このまま会社で働いても、先が見えてしまったから辞めました」 東大希望学プロジェクトの中心人物となった玄田有史教授(45)=労働経済学=は講演でこのエピソードを持ち出し、聴衆をひきつける。 「将来がまったく見えないとき人は希望を失う。同時に、将来が見えてしまったと感じるときにも、やはり希望は失われていく。希望はいったいどこからやって来るのだろうか」 希望を科学しようとするプロジェクトはまず、具体的なデータを集めることから始めた。平成17年から2度にわたり全国アンケートを実施。漠然と、現代は希