前回までの一連のエントリで、なぜ実質賃金は1970年代に上昇が止まったのか、そして労働需要と労働供給の長期の動向はこの疑問に応えることができるかどうかを問うてみた。このエントリでは、経済的影響要因より定量化が困難な「経済の領域外」(非市場)の影響要因に目を向けてみたい。 非市場的影響要因は、実質賃金へ潜在的に影響を与えている、多量のメカニズムから成り立っている。1つ挙げるなら、国家の経済統制(一部の人に言わせれば、国家による干渉)を起因とする政治的要因である。様々な関係者間の権力勾配の存在が影響をもたらしている。政治・立法的環境が労働組合に有利ならば、労働者は雇用者と団体交渉が可能になり、権力を得ることになる。逆の場合は、雇用者が優勢となる。 さらに、人間は完全な合理的行動主体ではない――合理的行動主体から程遠いほどだ!(神に感謝)。善悪についての我々の考え方は、売り買いの意思決定に影響を