川崎市に住む外国人の代表として市が選任する「外国人市民代表者会議」の委員らが、1年間の活動内容をまとめた平成29年度年次報告書を福田紀彦市長に提出し、災害時対応や子育て環境充実の必要性を掲げた。市に対し、多言語版の各種記入用紙の活用を求めるなど、外国人市民が増え続ける川崎市で、共生にかかわる諸課題を解決し、住みよいまちづくりを目指す取り組みが進んでいる。 (外崎晃彦) ◇ 「川崎市は外国人市民にとって住みたい、働きたいまちとして魅力的に感じられている」。年次報告では、外国人市民が市に抱く感想がこうまとめられた。 多言語版シート作成 同会議の委員長を務めたヘイ・ジャフィさん(24)は市について「私自身は住みやすいと感じている。ただ、人や環境によって、求める政策は異なる。時代に合わせた対応をしていかなければならない」と話し、同会議が意見を吸い上げ、市に提案していくことの意義を強調した。 同会議
山谷-。住居表示にはないが、南千住駅周辺(東京都荒川区、台東区)にある日雇い労働者向けの簡易宿泊所が並ぶ街だ。もちろん一般住民も住んでいるし、観光客、特に外国人旅行者が安いホテルを利用するため訪れるようになった。 そんな山谷で、多様性を生かした街づくりを進めているのが、一般社団法人「結 YUI」だ。現在、2軒の観光客向けホテルと1軒の簡易宿泊所を運営。ホテルは外国人が多く、簡易宿泊所は「見守り型」として、社会福祉士や精神保健福祉士が支援している。 代表理事の義平真心さん(44)は、山谷は地域の人と労働者が対立しがちに見えるという。 「路上にごみを捨てて汚い」という住民と、排除されて不信感を持つ労働者。そこに外国人旅行者が来ても交流はない。距離を感じることで誤解が生じることもある。 考えたのが、住民と労働者、旅行者が交流し関係性をつくるカフェの建設だ。 運営しているホテルの1階にカフェを造り
部落解放同盟の第75回全国大会が3日、東京都内で2日間の日程で始まり、部落差別撤廃や人権侵害救済法の早期制定を求める2018年度の運動方針案が示された。運動方針案では、差別をあおるヘイトスピーチが横行し、インターネット上では差別情報が氾濫しているなど、人権を巡る社会状況が悪化していると指摘。部落差別解消推進法の周知のための取り組みを進める必要があるとした。狭山事件で
東日本大震災の発生から3月で7年を迎えるのを前に、各地の語り部たちが活動を報告、今後の課題を共有しようと、宮城県南三陸町で「全国被災地語り部シンポジウム in東北」が25日、開かれた。3回目の今年は、震災の経験や震災遺構を、今後どう国内外へ伝えていくかがテーマ。阪神淡路大震災や熊本地震の被災地で活動する語り部や、外国人研究者、学生・生徒らが参加し、未来の防災について議論を深めた。(千葉元) シンポジウムは26日まで2日間の日程で、会場は「語り部バス」の活動など震災を風化させないとの取り組みが評価され、昨年「ジャパン・ツーリズム・アワード」の大賞を受賞した南三陸ホテル観洋。 初日の25日は開会を前に戸倉地区と志津川地区を回る「語り部バス」を運行、外国人参加者向けに英語による案内も行われた。震災遺構の旧結婚式場「高野会館」では、通常は立ち入り禁止となっている内部に参加者が入った。震災発生当時、
国籍・民族の違いによる差別や性的少数者への差別の解消を明記した東京都世田谷区の条例案が、26日の区議会常任委員会で可決された。3月2日の本会議で可決、成立する見通し。罰則はないが、区民が申し立てた苦情を調査する苦情処理委員会を設ける。区や専門家によると、国籍や民族による差別について苦情処理の仕組みを設けるのは珍しいという。 名称は「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」。議会で成立すれば、4月から施行される。性的少数者を含む性別などの違いや国籍・民族などの違いによる差別の解消を項目として明記し、「不当な差別的取り扱いをすることにより、他人の権利利益を侵害してはならない」と記す。 苦情処理委は区長の諮問機関で、有識者ら3人で構成。関係者から意見聴取などをして区長に意見を言い、区長は「必要に応じて適切な措置を講ずる」と定める。区は対象を区の業務と想定し、ヘイトスピーチ
選手でなくとも夢の舞台へ-。2月9日に開幕する平昌(ピョンチャン)冬季五輪に、京都外国語大(京都市右京区)など全国の7外大から学生計100人が通訳ボランティアとして参加する。7校でつくる「全国外大連合」と平昌五輪・パラリンピック組織委員会が結んだ協定に基づき、初めて五輪に派遣される。約2年後に迫った東京五輪・パラリンピックを見据え、通訳の技術や異文化の素養を備えた人材を育成する狙いもある。(宇山友明) 全国外大連合は平成26年に、京都外大▽関西外大(大阪府枚方市)▽神田外大(千葉市)▽神戸市外大▽東京外大(東京都府中市)▽長崎外大(長崎市)▽名古屋外大(愛知県日進市)-で結成。学生らに通訳技法や異文化などを学んでもらうセミナーを開催している。 セミナーを受講した学生は任意で連合の人材バンクに登録され、平昌の通訳ボランティアも人材バンクから募集。応募してきた280人の中から過去の留学経験や語
外国人被災者役になって聞き込みの訓練を行うエムディーさん(右)=平成29年1月、西宮市総合福祉センター 阪神大震災で外国人被災者が状況把握などで苦労した経験から、西宮市国際交流協会は地震発生時などに外国人を支援する「災害時外国人サポーター」の養成に取り組んでいる。登録者は外国人6人を含む約60人で、英語を使った防災訓練などを実施。27年に登録されたバングラデシュ出身で県立西宮香風高補助員のアサドウッザマン・エムディーさん(35)は「災害時には言葉や習慣の違いで外国人は孤立する。3言語を話す自分が支えたい」と力を込めた。(中井芳野) 23年前の震災では、外国人被災者は避難所に貼り出された「炊き出し」「罹災証明」などの言葉が理解できず、日本での生活が長い人でも救援物資の状況などを把握することが困難だった。また、地震の経験がない国の出身者は災害を認識できず、被災地で適切な対応をとることができなか
2017年12月1日、東京大学医学部3年生の飯山智史さんと工学部3年生の町田紘太さんは、国連ニューヨーク本部で開催された「災害や紛争時の障害者の権利に関するパネル・ディスカッション」に、世界の若者の代表として招待され、国連の持続可能な開発目標(SGDs)※の達成を目指す「東京大学EMPOWER」の活動を紹介した。 東京大学の学生が参加したこのパネル・ディスカッションは、国連経済社会局が開催したもの。障害者権利条約の起草プロセスを取りまとめたルイス・ガジェゴス元エクアドル国連大使の司会のもと、UNICEFや世界銀行、非政府組織の代表が参加。この様子は世界に同時中継された。 「東京大学EMPOWER」は、東京大学の学生が発端となり、「協力が必要な時は、お声を!」 という意味の「マゼンタスター」をシンボルマークにした「協力者カミングアウト」を推進する、持続可能な開発目標(SDG目標)達成のための
ツイッター社が差別表現を伴う投稿を放置しているとして、市民らが8日、抗議活動をした。東京都内にある同社日本法人が入るオフィスビル前の歩道に、民族差別や性差別をあおるような投稿を印刷した紙を敷き詰め、ビルに向かって「差別ツイート野放しやめて」「ヘイトツイートは表現の自由にあたらない」などと書かれたポスターを掲げた。 主催したヘイトスピーチに抗議するグループ「TOKYO NO HATE(トウキョウ ノー ヘイト)」は、海外に比べて日本のツイッター社は差別主義に対する規制や排除の姿勢に乏しいことを問題視して企画したという。呼びかけ人の会社員・石野雅之さん(57)は、米シャーロッツビルで白人至上主義者と反対派が衝突した事件を引き合いに出し、「このままでは、日本でも二の舞いが避けられなくなってしまう」と語った。 ツイッター日本法人は、抗議活動の開催が発表された後の7日、「すべての方が安心してご自分を
シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。 ビジネスモデルの破壊者たち シュンペーターの創造的破壊を地で行く世界の革新企業の最新動向と未来戦略を、シリコンバレー在住のジャーナリストがつぶさに分析します。 バックナンバー一覧 さまざま層のテクノロジー企業が 連帯して差別主義を排除 アメリカでは、テクノロジー企業の提供するプラットフォームが、政治対立の舞台になることがますます増えている。 最近では、白人至上主義者やネオ・ナチ支持者、極右派に対して、数々のテクノロジー企業が利用を禁止するようになった。ことに、8月半ばにバージニア州のシャーロッツビルで起こった白人至上主義者らと反対派との衝突事件
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