「障害者福祉の父」として知られる故・糸賀一雄氏が、知的障害者らが入所する公的福祉施設「近江学園」(滋賀県湖南市)を創設してから、今年で70年。「この子らを世の光に」という糸賀氏の理念には、「どの子供たちも生まれながらに輝く素材を持っている」との意味が込められている。相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入居者19人が刺殺された事件から26日で1カ月。同学園の職員らは改めてこの言葉の重みをかみしめている。 「そーっと、そーっと」「手を切らないよう気をつけて」。今月上旬、同学園木工科の授業。職員らのアドバイスに従って生徒たちは真剣な表情でのこぎりを動かす。作業が一段落すると笑みがこぼれた。 同学園には約70人の生徒が入所している。中学校を卒業すると、木工科や窯業科などに所属し、就業に向けて技能を磨いている。木工科では木工製品、窯業科では粘土を使って茶碗(ちゃわん)や造形作品を作る。 同学園
東北地方の重度障害者施設に勤める40代の男性の腕にはいくつも傷がある。右前腕部が多く、取材した日は赤い傷が五カ所ほど。暴れる利用者が爪を立てたり、たたいたりした痕だ。かみつかれて血が出たこともある。 「反応すればさらに興奮するから、平然と対応するように教わった。押さえつけるわけにはいかず、他の利用者にけがをさせてもいけない。職員がけがをしてでも盾になるしかない」 約50人の利用者が暮らす入所施設で働く。担当するのは約20人いる最重度の人たち。利用者が暴れるのは毎日のことだ。 福祉を志して、今の施設に勤め始めて1年近く。理想を持ってはいるが、24時間を超える宿直が明けるとぐったりする。疲労でケアが乱雑になる日もある。 「保護者の疲れきった表情、施設で働いている職員の生気の欠けた瞳」 津久井やまゆり園で起きた事件で逮捕された植松聖(さとし)容疑者(26)は、衆院議長に宛てた手紙にそう書いた。そ
神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で起きた殺傷事件は、無事だった入所者や職員にも大きなショックを与えた。園に残る人たちのケアが課題となっている。 施設を運営する社会福祉法人かながわ共同会や県によると、園には事件前、10~70代の149人が長期入所していた。その約8割が、必要とされる支援の度合いを示す「障害支援区分」で最も重い6だった。 27日時点で、けがをしなかった約100人が園に残った。一部の入所者は家族が自宅に引き取り、共同会が運営する他の施設に移った人もいるという。 現場検証などのため現場の建物のほとんどが立ち入り禁止になり、事件のあった26日は男性は体育館で食事を取り、夜もそのまま布団を敷いて就寝。女性はホームの被害を受けなかったスペースで過ごした。風呂は27日になっても1カ所しか使えず、順番に利用したという。園側は「同じ場所に一日中いるのは大変なので、日中に外に出ら
厚生労働省によると、神奈川県の指定管理施設である「津久井やまゆり園」のような障害者向けの施設入所支援サービスを提供する事業者は、昨年3月時点で全国に約2600ある。利用者は13万2千人余り。 事業者は障害者総合支援法に基づき、重い知的障害があって常に介護が必要な人らを長期間受け入れ、入浴や排泄(はいせつ)、食事の介助といった福祉サービスを提供する。津久井やまゆり園では、普段は自宅で暮らす障害者を短期間受け入れるサービスも実施していた。 厚労省が2014年に実施した調査によると、障害者の身の回りの介助をする施設職員(生活支援員)の年収は常勤で約330万円、非常勤では約190万円だった。 事件を受けて、厚労省幹部は「再発防止策を検討したい」と話している。
7年と3年の人も 「異食行為」防止を理由に 障害者支援施設の鳥取県立鹿野かちみ園(鳥取市鹿野町今市)で、知的障害のある40〜60代の女性入所者3人が20〜3年にわたり1日14〜6時間半、居室を外部から施錠されていたことが15日、分かった。県は虐待にあたると判断し、経緯や背景などについて施設側から報告を求める。 施設を運営する社会福祉法人・県厚生事業団と、調査した県が発表した。
判断能力が不十分な人の財産管理を担う成年後見制度の利用促進を図る議員立法が今月中に成立し、施行される見通しとなった。23日午前の衆院内閣委員会で、自民、公明、民主など各党の賛成多数で可決された。衆院本会議での可決を経て、参院でも近く可決、成立する。認知症高齢者の増加を見据え、専門家以外の後見人の育成を促す。 可決したのは、新法の成年後見制度の利用促進法案と、後見人の権限を拡大する民法改正案など。新法には、研修を受けた市民後見人の育成と活用を図ることで「人材を十分に確保する」と明記。政府に必要な法整備や財政上の手当てを速やかに講じるよう義務づけ、自治体には地域の特性に応じた施策づくりと実施を求める。弁護士など法律の専門家だけでなく、人材の裾野を広げる狙いだ。 首相をトップにした利用促進会議を内閣府に新設し、目標や国民への周知策を含む基本計画をつくり、実行することも定めた。 民法などの改正案で
野外活動の行き先や班分けを話し合う「エコールKOBE」の学生たち=2015年9月、神戸市内 野外活動について話し合う「エコールKOBE」の学生たち=2015年9月、神戸市内 知的障害者が高校卒業後に大学の代わりに通い、社会に出る前の人間的な成長を目指す「学びの場」が、全国約30カ所で運営されている。これまで福祉施設へ通うか就職にほぼ限られていた進路を広げる試みで、これからも増えそうだ。 ▽自分で決める 「みんなはどう思う」 「俺から提案がある」 昨年秋、神戸市長田区の商業ビルに間借りする学園「エコールKOBE」の教室に若者たちの声が行き交った。2週間後の野外活動の行き先や班分けについての話し合いだ。 学生自身が司会を務め、意見を聞いたうえで多数決を取る。行き先のボウリング場を予約する係も決まった。 学園長の河南勝さんは「自分たちで決める主体性を大切にしている。希望と違っても気持ちに折り
知的障害者が参加するスポーツの全国大会「スペシャルオリンピックス日本冬季ナショナルゲーム・新潟」が12日から3日間、新潟市と南魚沼市で催される。スポーツを通じて社会性をはぐくむことも大会の目的の一つで、アルペンスキーやスノーボードなど全7競技に約620人の選手が出場。県内からは9~40歳の選手93人とコーチ33人の計126人が選手団を結成し、スピードスケートを除く6競技に挑む。 大会は夏と冬にそれぞれ4年に1度開催され、新潟での全国大会は初めて。来年3月にオーストリアで開かれる冬季世界大会の選考も兼ねている。 今回は選手とコーチを合わせて約950人が参加。アルペンスキー▽スノーボード▽クロスカントリースキー▽スノーシューイング▽フィギュアスケート▽ショートトラックスピードスケート▽フロアホッケー-の7競技を争う。期間中、競技は無料で観覧できる。 ボランティアは延べ3千人を超す。選手として出
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知的障害者にもっと学ぶ場を-。障害者福祉事業を展開する「鞍手ゆたか福祉会」(福岡県鞍手町、長谷川正人理事長)が九州と東京に五つの「福祉型大学」を開き、青年期教育の場を提供している。先駆けとなった福岡市の「カレッジ福岡」を訪ねた。 「くまモン誕生の秘密」「徳川家康について」「自分の成長と将来」…。カレッジ福岡の特色の一つ「自主ゼミ」は、知的障害や発達障害がある学生たちが関心のあるテーマを1年かけて掘り下げ、論文にまとめて発表する。自主性やコミュニケーション力、情報収集能力を身に付けていく。 カレッジ福岡は2012年4月、福岡市東区のビルに開設された。制度上は障害者総合支援法に基づく自立訓練事業と就労移行支援事業を組み合わせた多機能型事業所だが、利用者を「学生」、支援員を「支援教員」と呼ぶ。授業料は原則無料で、給食費など月約9千円を負担する。 障害の程度で普通科と生活技能科に分かれ、自立訓練に
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