全国の自治体で「手話言語条例」の制定が広まる中、乳幼児期の手話習得の機会を行政が確保するという全国初の取り組みを盛り込んで3月に施行された大阪府の条例に注目が集まっている。手話は独自の文法を持つ言語だが、使用が禁じられた歴史を背景に、習得に関する法的な規定はなく、民間任せなのが現状だ。府は民間のノウハウを活用し、来月から乳幼児と保護者を対象にした「手話教室」を始める予定で、当事者団体からは「画期的な条例。全国に広がってほしい」と期待が寄せられている。(藤井沙織) ■民間と連携 子供たちが一心に見つめるのは絵本と手話。無音の読み聞かせが終わると、手を動かしながらうれしそうに笑った。 京都市の社会福祉法人が2年前に始めた聴覚障害のある乳幼児と保護者らの集いの場「にじっこ」での1シーン。「子供たちは手話での会話を楽しむようになり、保護者もどんどん明るくなっていく」と自身も聴覚障害のあるスタッフの
全日本ろうあ連盟調査 多様な言語環境整備の動き 「手話」を言語として位置づけ、普及やそのための環境整備などを進める「手話言語条例」の制定が全国の自治体で広がっている。聴覚障害者で組織する「全日本ろうあ連盟」(本部・東京)によると、2月末現在で9県56市8町の73自治体で成立し、大阪府など19自治体が準備中と、多様な言語環境を整備する動きは活発だ。条例の内容はさまざまだが、手話の普及や理解を推進するために、具体的な施策を打ち出す自治体も多い。 手話言語条例は、2011年に定められた「障害者基本法」で手話が言語として認められたのを受け、自治体で制定が始まった。聴覚障害者が生活しやすい環境を整備することを目的としている。13年に鳥取県で初の条例が制定され、同年に2自治体、14年に8自治体、15年に22自治体、16年が41自治体とかなりのスピードで広がった。
東京地裁で開かれた傷害致死事件の裁判で、聴覚障害のある男性が裁判員を務めた。同地裁の裁判員裁判で手話通訳がついたのは初めて。男性は6日の判決後に記者会見し、「不安はあったが、参加できてうれしかった」と述べた。 裁判員を務めたのは、会社員の柴田正明さん(45)。証言台の隣に手話通訳が立ち、3人が20分ごとに交代して通訳した。柴田さんは通訳と被告の表情などを見ながら審理に加わった。 2015年に東京都杉並区のマンションで、当時1歳2カ月の長女を強く揺さぶり死なせたとして、父親でオーストラリア国籍の無職バロウズ・リチャード・アラン被告(37)が傷害致死罪に問われた裁判。石井俊和裁判長は、懲役4年(求刑懲役7年)の判決を言い渡した。被告には英語の法廷通訳がついた。 柴田さんは、1日にあった被告人質問で、「子どもが泣いたとき、世話が嫌だなと思うことはありましたか」と手話で尋ねた。判決後、柴田さんは「
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