ケータイ電話とipodが一体となったiphoneの発売日。都内の販売店で行列の先頭にいた人に、テレビの取材者が「最初に誰にかけますか」と問うと、ジミな名古屋の青年は母親にその場で電話をかけていた。 取材陣が殺到したのは、栃木からやって来たというモヒカンにサングラスに刺青の男性。彼が電話で呼びかけたのは、「あっ、ばあちゃん」だった。一番に電話したのが彼女とか友達ではなく、郷里の家族。意外というべきか、なごむエピソードだ。モヒカンの彼は、徹夜しているうちに仲間ができて楽しかったと語っていた。 便利な機能よりも、イベントに参加することに、ケータイ電話がもつ意味も変化しようとしているのかもしれない。そんなふうに考えたりしたのも本書を読んでからだ。 ケータイ小説は、都市でなく、地方で売れていた。著者は、その意味を探ろうとする。 ありがちなケータイ小説論で似通っているのは、「これは小説できない」「文学