2011年05月31日16:04 カテゴリ本エネルギー 電力自由化の経済学 きのうの読書ガイドで本書を取り上げるのを忘れていたので、紹介しておこう。本書は2004年の本だが、私が経済産業研究所に勤務していたころ、ファカルティ・フェローだった八田達夫氏のプロジェクトの研究をもとに書かれた論文集である。テクニカルなので一般読者向きではないが、その考え方は今でも有効だ。 当時は、村田成二事務次官のもと発送電の分離をめざす経産省と、これに抵抗する電気事業連合会の闘いが続いていた。経産省のバックには高い電気料金を不満とする財界主流の意向があったが、電事連は自民党の族議員にすがって分離を阻止しようとした。その妥協の産物として日本電力卸売取引所ができたが、送電網の分離はできなかったため、電力自由化は中途半端に終わった。 このとき電事連は、カリフォルニアの大停電やエンロン事件などをあげて「市場原理主義」に