「私は人をカチンとさせる余計な一言を言ってしまうらしいんです。でも、具体的に何が地雷だったのかわからない」。ただそこを自覚できなければ、コミュニケーションの改善には限界があるのではないか。私がそう指摘すると、ケンイチさんは「おっしゃるとおりです」とうなずいたうえで、次のように主張する。 「私は真面目に仕事をしていいものをつくりたいだけ。でも、日本の会社で(定型発達の人に)意見をすると、人格を否定したかのように受け止められる。日本の組織で重用されるのは、よい製品をつくるために議論しようとする人ではなく、上司の顔色をうかがうことができる周りともめない人」 もめる相手はもっぱら日本人 私事になるが、私も会社員時代は上司から「和を乱す人間」と苦言を呈されていたクチだった。だから、ケンイチさんの言い分には共感できる部分もある。 たしかに発達障害のある人にとって、同調圧力が比較的強い日本より欧米社会の