3月末からの短期間で北朝鮮の労働党委員長、金正恩(キム・ジョンウン)を3度も訪中させた中国国家主席の習近平(シー・ジンピン)。一見、これこそが米国防長官のマティスが6月15日、海軍大学の卒業式で指摘した最盛期の漢民族王朝の一つ、明朝(1368~1644年)をモデルにした周辺国の「朝貢体制」の復活に見える。その実、金正恩はこの隣国への頻繁な「朝貢」を極めてうまく利用している。超大国である米国の大
【サンティアゴ=山崎純、八十島綾平】環太平洋経済連携協定(TPP)の原点は2006年に発効した4カ国の経済連携協定(EPA)、通称「P4」だ。シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイが関税全面撤廃とビジネスのルール統一を掲げる先進的な内容で合意した。その先進性にまず米国が注目。オバマ大統領は09年、P4をTPPに発展させる方針を示した。中国が台頭する中でアジア太平洋の経済秩序を米が主導す
(その国の人の)小柄で華奢でおとなしそうな外見とは裏腹に実は、大国・中国に、そう言わしめるほどの小国がアジアにある。 したたかな朝貢外交を展開し、中国のみならず、米国、フランス、ロシアに至ってまで、「山椒は小粒でもピリリと辛い」と知らしめているのが、実はベトナムだ。 1000年にもわたる中国の侵略や支配、約70年にも及ぶフランス下での植民地支配に屈せず、さらには20年続いた米国とのベトナム戦争、その後は中越戦争を経験した。 何度も痛い目に遭わされてきた中国 「China and Vietnam: The Politics of Asymmetry(中国とベトナム、その非対称な政治)」の著者で、米国における中国政治外交の専門家、ブラントリー・ウォマック博士は、「中国の力は、再三、ベトナムという岩の上で砕け散ってきた」と言う。 ベトナム戦争でロシア軍や米軍が置きざりにした戦闘車など、お古の兵器
海自の行動を高く評価する米海軍戦略家たち 今回の海上自衛隊艦艇によるスービックならびにカムラン湾訪問について、あるアメリカ海軍戦略家は、「海上自衛隊艦艇のスービック寄港は、海上自衛隊とフィリピン海軍にとって記念すべき日となった。アジア太平洋海域での戦略環境に対しても歴史的なインパクトを持つ日なるであろう」と高く評価している。 アメリカはオバマ政権下での大幅な国防費削減によって、南シナ海への覇権主義的海洋侵出政策を推し進める中国に自らの海洋戦力だけでは対抗しきれなくなり、同盟国の戦力を活用する方針に転じている。だが、南シナ海に面するアメリカの同盟国フィリピンの海洋戦力はゼロに近い。そのためアメリカが強力にバックアップしなければならない。ところが、かつてフィリピンに大規模な海洋戦力(海軍、空軍、海兵隊)を配備していた時代と違い、そのような大規模戦力をフィリピンに展開させる余裕はアメリカにはない
(前回から読む) 日中が衝突したら韓国は中国側に付くのか――。神戸大学大学院の木村幹教授と展開を読む(司会は坂巻正伸・日経ビジネス副編集長)。 半妖怪の韓国 前回は日韓関係が悪化し、信頼関係も消えた今こそ、紛争の予防を真剣に考える必要があるとの話でした。 鈴置:日韓関係が良くなることは――日本人が韓国に気を許すことは今後、まずないと思います。「韓国はねずみ男」との認識が広まったからです。 「早読み 深読み 朝鮮半島」の書籍化第1弾である『中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』で使った「ゲゲゲの鬼太郎」モデルですね。以下、プロローグの「中国の空母が済州島に寄港する日」から引用します。 読んでくれた知り合いの1人は「韓国って『ゲゲゲの鬼太郎』に出てくる『ねずみ男』のような国なのですね」と言った。確かに、米国たる目玉親父や、日本たる鬼太郎の側にいるようで、肝心な時は妖怪側――中国につくのが「ねずみ
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6月23~24日、ワシントンDCで第7回米中戦略経済対話が開かれた。この会合は定期的に開かれている米中間の交流の一環であるが、今年は9月に予定されている習近平国家主席のアメリカ訪問に関する具体的な準備作業といった意味合いも持っていた。 「人工島脅威論は米軍のプロパガンダ」という批判 その準備作業に関連して、中国側による、アメリカのメディアやシンクタンクなどに対する働きかけも強まっている。その結果かどうかは定かではないが、シンクタンクの研究者などから、米政府やメディアによる中国の南シナ海政策に対する強硬論を「冷静に再評価すべきである」といった論調が唱えられるようになってきた。 例えば、「アメリカ太平洋軍関係者たちのように、中国の人工島建設をはじめとする進出状況だけを取り上げて、南沙諸島領域紛争に関与している中国以外の関係諸国の行動を問題にすることなく一方的判断だけで中国脅威論を言い立てるのは
韓国軍のベトナム慰安所報道で処分、「左遷」 TBS山口敬之ワシントン支局長に激励の声相次ぐ J-CASTニュース 4月28日(火)20時2分配信 韓国軍がベトナム戦争中に慰安所を開設していたことを週刊文春でスクープしたTBSの山口敬之ワシントン支局長が、この記事をきっかけに懲戒処分を受け、営業局に異動させられていたことが分かった。 「歴史的スクープ 韓国軍にベトナム人慰安婦がいた!」。週刊文春の2015年4月2日号は、こんなタイトルで7ページにわたる大特集を組んだ。 ■懲戒処分を受け、営業局に異動を命じられる その記事は、山口敬之支局長名で書かれており、アメリカの機密公文書まで調べた文字通りの調査報道だった。この記事は大きな反響を呼び、ネット上では、なぜTBSでは報じなかったのかも話題になった。 記事によると、山口氏はアメリカに赴任する直前の2013年、ある外交関係者から、慰安所の
「このようにアメリカ政府が干渉する真意は、南シナ海や東シナ海での紛争をあおり立てて、アジア太平洋地域におけるアメリカの影響力を確保しようという魂胆からであることは誰の目にも明らかである。アメリカの政治的指導者たちによる無責任な主張は、南シナ海での領域紛争をさらに引っ掻き回して地域の平和と安定に打撃を加え緊張を高める以外のなにものでもない」 日本に対しても強烈に非難 G7外相会合声明が発せられると、中国共産党系英文メディアは上記のようなアメリカへの反駁に加えて、日本に対する強烈な非難を展開している。 「G7外相会合声明に、わざわざ南シナ海における領域紛争が取り上げられたのは、日本がこの問題を書き込むように執拗に根回しをした結果である。日本はG7外相会合という多国籍枠組みを利用して、南シナ海で中国が周辺諸国を脅かしているかのごとき印象を国際社会に宣伝することによって、東シナ海でも日本が圧迫され
2014年の東アジアは軍事的にも経済的にも、大きな目で見れば安定した1年だった。先月北京で開かれたAPEC会議では安倍晋三首相と習近平・中国国家主席との間で会談が実現し、朴槿恵・韓国大統領とも短いながらも会話が生まれ、日本の外交に一定の期待を残した。 東アジア情勢は近い将来どう変わるのだろうか。本稿では今年の進展を元に、来年注目すべき点を幾つか挙げたい。特にここ数カ月の政治・経済両面での動きは地域の安定にどう影響を与えるのかという問題に着目したい。 軍事対立は東アジアで戦争を引き起こすか 安全保障の分野で最も大切な問題の1つに、戦争の可能性がある。とりわけここ数年の間で日本を取り巻く環境は厳しくなってきており、専門家の間でも尖閣地域での日中の軍事衝突の可能性とシナリオが分析されている。冷戦中にあったソ連からの脅威は低下したぶん、北朝鮮や中国を中心とする西からの脅威が顕著になった。 中国の軍
オバマ大統領の対外政策は、シリアへの軍事的不介入以来、同盟国の多くや国内保守派に大きな不信感を抱かれており、ウクライナ情勢でますます信頼を失墜した。そして今度はイラク情勢が悪化したため、さらなる強烈な批判にさらされている。オバマ政権がぶち上げているアジア回帰政策は、ウクライナ情勢とイラク情勢の前に忘れ去られてしまった感もある。 オバマ大統領の東アジア歴訪以降、それらに追い打ちをかけるように、中国による東シナ海と南シナ海での軍事的恫喝は激しさを増している。アジア回帰政策などはまるで紙に書いた文字に帰しつつあると言っても過言ではない。 このような状況下で、真のアジア重視派から「アメリカ政府は深刻な警戒感を持って対処すべきである」との声が持ち上がっているのが、南シナ海での中国による“人工島”建設計画である。 岩礁周辺を埋め立てて海軍基地を建設 中国が2014年2月からサウスジョンソン礁(中国名「
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