【ブリュッセル=森本学】2019年1月1日に導入20年を迎える欧州の単一通貨ユーロ。ギリシャの離脱の可能性まで議論された債務危機をひとまず乗り切り、11カ国で始まったユーロ圏は19カ国まで拡大した。だが歴史の節目を祝う熱狂ムードはない。危機を招いた域内不均衡という問題への対応は道半ば。足元では主要国のイタリアやフランスでもポピュリズム(大衆迎合主義)が勢いづくなど逆風が吹く。「通貨統合が全ての
10月11日、仏極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首(写真)は、大統領選で推進していた反欧州連合(EU)の姿勢から一転し、フランス人の生活は欧州単一通貨を離脱しなくても改善できるとの考えを示した。写真はパリで9月撮影(2017年 ロイター/Benoit Tessier) [パリ 11日 ロイター] - 仏極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首は、大統領選で推進していた反欧州連合(EU)の姿勢から一転し、フランス人の生活は欧州単一通貨を離脱しなくても改善できるとの考えを示した。 5月の大統領選でルペン党首が大敗したことから、FNは欧州を巡って内紛状態に陥り、先月にはルペン党首の側近であるフロリアン・フィリポ氏が離党する事態となっている。 ルペン氏は12日発売の週刊誌バルール・アクチュエルに掲載されるコメントで「多くの分野で、欧州またはユーロから離脱することなくフランス人の日常生活を改善する
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1月10日、反移民政策を掲げる「ドイツのための選択肢」(AfD)のイェルク・モイテン共同党首(写真)は、ユーロ圏はドイツなど経済的に強い国々とフランスを含む弱い国々に分割すべきだと主張した。2016年9月撮影(2017年 ロイター/Axel Schmidt) [ベルリン 10日 ロイター] - 反移民政策を掲げる「ドイツのための選択肢」(AfD)のイェルク・モイテン共同党首がロイターのインタビューに応じ、ユーロ圏はドイツなど経済的に強い国々とフランスを含む弱い国々に分割すべきだと主張した。 モイテン氏は、欧州では通貨文化も競争力のレベルも異なると述べ、「ユーロは欧州の不和の種だ」と語った。 同氏はイタリア、スペイン、ポルトガル、フランスを挙げ、「弱い国々が離脱することはあり得る」と発言。また、ギリシャと通貨を共有したい国はないだろうと述べた。 オーストリア、オランダ、フィンランドはドイツと
サンクトペテルブルグ国際経済フォーラム(SPIEF)で講演する、イタリアのマッテオ・レンツィ首相(2016年6月17日撮影)。 Photo by kremlin.ru, via Wikimedia Commons. ブリュッセルのある高官は先週、徐々に高まるイタリア銀行システムの危機――および400億ユーロ規模の銀行救済に関し、国家支援の規則の免除を訴える要請――を、イタリア喜歌劇の出し物として一蹴した。 このような態度が続くようなら、欧州連合(EU)は2011年のユーロ圏危機の悲劇的な再現の引き金を引く恐れがある。 イタリアの銀行をめぐる対立は、英国が国民投票でEU離脱を決めてからわずか数日で勃発した。英国の投票結果は部分的に、移民に対する庶民の怒りに直面しても、現実主義を見せようとしない好戦的なEUによって引き起こされたものだ。 国内銀行システムの危機が高まっているイタリアが、次の試練
[プラハ 31日 ロイター] - チェコ共和国のソボトカ首相は31日、ゼマン大統領、バビシュ第1副首相兼財務相、中央銀行総裁らと同国のユーロ加盟問題について会談した後、加盟すれば同国に恩恵がもたらされるとする声明を発表した。 首相は「安定や雇用、競争力といった面でもたらされる戦略的恩恵の方が、潜在的なマイナス面より大きいと個人的には確信している」と表明した。 会議を主催したゼマン大統領はこれに先立ち、ユーロ採用について「合理的な」議論を望むと述べていた。 ここ数年でギリシャを筆頭とする南欧諸国が危機に見舞われたため、チェコ国民の多くはユーロ加盟に反対している。 ソボトカ首相が率いる中道左派政権はユーロ加盟支持の立場だが、2017年終盤までの任期中に加盟日程を定めることはないとしている。首相のチェコ社会民主党は2020年の加盟を目指すことで合意しているが、連立を組む中道政党「ANO2011」
ギリシャ・レスボス島に設置された難民キャンプ(2016年4月3日撮影)。(c)AFP/ARIS MESSINIS〔 AFPBB News 〕 欧州の政治家が欧州連合(EU)への難民流入と英国のEU離脱を防ぐのに忙殺されている間に、すべてのEU危機の母であるギリシャでは、マグマが再び静かにゆっくりと蓄積されつつある。 アテネでの話し合いは今回も実りのないものに終わり、22日にはユーロ圏財務相会合が開催されることになっていた * 1 。 そしてEUを昨年振り回したギリシャ危機と同様に、新たな難局が間もなくこの地にやって来る。ギリシャ政府が次の金融支援を受け取ることができなければ、7月に期限が来る35億ユーロの債務返済でデフォルト(債務不履行)し、「グレグジット(ギリシャのEU離脱)」の可能性が再び高まる恐れがあるのだ。 なぜそんなことが再度起こり得るのか。1年近く前、次第に切羽詰まっていった首
(英エコノミスト誌 2016年2月13日号) 欧州各国の銀行は、金融界で発生した新たな嵐の真っただ中にいる。 2016年の幕開けを世界各国の株式市場にとって絶望的だったとすれば、銀行株はまさに大惨事と言うべき状況だ。金融株の株価は年初から米国で19%下落している。他の国の落ち込みはさらに激しい。日本の銀行株は年初から36%と急落した。イタリアの銀行株は31%マイナスとなり、ギリシャの銀行株に至っては60%という恐るべき下落を見せている。 欧州全体の銀行株指数は24%のマイナスとなり、2012年夏の急落時に記録した最低値に迫りつつある。 2012年当時は欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁がユーロを救うために「必要なあらゆる措置」を取ると言明するまで、ユーロ圏が崩壊の瀬戸際に立たされているように見えた。 脆さが露呈した欧州の銀行 欧州での株安は、中小の銀行だけでなく、大手銀行をも巻き込
先週の欧州金融市場の総崩れは、重大な転機となる出来事だった。我々が目の当たりにしたものは、必ずしも株式の弱気相場の始まりではなく、将来の景気後退の不確かな前触れでもなかった。我々が見たものは――少なくとも、ここ欧州では――、金融危機の再来だ。 ユーロ圏危機のバージョン2.0は、いくつかの点では最初の危機ほど恐ろしく見えないかもしれないが、別の点ではさらにひどい。 債券利回りは、当時ほど高くない。ユーロ圏には今、救済の傘が備わっている。銀行のレバレッジの水準は、当時より低い。 しかし、銀行システムの問題は一掃されておらず、ゾンビ金融機関がたくさん存在し、2010年とは対照的に我々はデフレ環境に置かれている。欧州中央銀行(ECB)はこれまで4年間、インフレ目標を達成できておらず、今後何年も達成できない可能性が極めて高い。 銀行と国債の悪しき相互作用が復活 市場は4つの明確なメッセージを送ってい
多重危機に見舞われている欧州。もしユーロ圏の大国で極端な政治思想を持つ指導者が政権を握ったら、どうなるか・・・ (c) Can Stock Photo ジョン・ワイツによるヒャルマール・シャハトの伝記『Hitler’s Banker(邦訳:ヒトラーを支えた銀行家)』を読み返したら、これまで筆者が考えていなかった1930年代と現在の興味深い共通点に気づいた。 ヒトラーが再軍備計画の資金を賄うために、配下の中央銀行総裁だったシャハトに頼ったことは、よく知られている。 だが、ワイツは――そしてここが今日のユーロ圏に潜在的に関係するところだが――、シャハトがライヒスバンク(ドイツ帝国銀行)で非伝統的な政策を追求できたのは、ひとえに独裁者の後ろ盾があったからだとも指摘している。 例えばイタリアやフランスなど、ユーロ圏に属する大国で極端な思想を持つ指導者が権力を握り、もし彼らがシャハトの才覚を持った中
今日の欧州のシステミックリスクについてはどのように考えるべきなのだろうか。欧州連合(EU)は、危機管理でまずまずの成功を収めている。しかし、今のように複数の危機が交差している時には、難局を何とか切り抜ける能力さえも限界に達しつつある。 この問題が最もはっきり分かるのはギリシャだ。この国は、経済のメルトダウンと難民危機の両方に取り組んでいるが、ほかのEU諸国からは大した支援を受けていない。 欧州委員会が先週、国境を管理できていないとギリシャ政府を批判する報告書を出した時には、マケドニアがギリシャとの国境検問所を封鎖する決断を一方的に下し、数千人の難民が国境のギリシャ側で立ち往生することになった。 一方、アテネでは議会が年金改革を議論していた。金融面の生命維持を続ける対価として債権者たちから強いられた措置だ。 ギリシャは、最も厳しい事例ではあるかもしれないが、複数の危機に同時に見舞われている唯
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