北朝鮮の核開発やミサイル実験に厳しい姿勢で臨むことで「強いリーダー」を演じる安倍晋三首相。だが、本来、米国と北朝鮮の対立である問題に、不用意に介入することで、かえって日本が戦争に巻き込まれるリスクが高まっている。 そうした安倍政権の姿勢を、小西洋之・参議院議員(民進党)は「米国に追従し、北朝鮮に日本攻撃の口実を与える亡国かつ売国の行為」と厳しく批判している。同議員に、いかに安倍政権の対北朝鮮政策が危険かについて、またその対案について聞いた。 〇「日本列島を丸ごと焦土化」日米共同訓練に憤る北朝鮮小西洋之参議院議員。筆者撮影。 小西議員は「実は、安倍政権以前には、北朝鮮が日本や日本国民そのものを攻撃すると発言したことは一度もありませんでした」、「しかし、トランプ大統領の軍事圧力を『日米は100%ともにある』とまで全面的に支持する安倍政権の姿勢や、違憲の安保法制による自衛隊と米軍の度重なる共同訓
立憲民主党の枝野幸男代表は2日、自身が民主党時代に公表し、集団的自衛権の行使容認を含む憲法改正私案について「有効ではない」と述べ、撤回した。「(安全保障関連法の成立で)解釈を勝手に変えられている状況では、前提がちがっている」と理由を挙げた
文部科学省の前川喜平前事務次官(62)が自身の講演で平成27年9月、安保法制に反対した学生団体「SEALs(シールズ)」などが国会前で行った集会に参加していたと話した。当時、前川氏は文科省の審議官で翌年の6月、事務次官に就任した。公務員で、しかも省庁事務方のトップを担い、加計学園問題でも参考人招致を受け、今も積極的に発言している前川氏が従来から安倍政権に批判的だったことを自ら認めた形だ。 前川氏は今月2日、福島市の福島県文化センターで開催された「前川さん大いに語る」(主催・前川さんの話をきく会実行委員)で講演した。 前川氏は2時間近くに及ぶ自身の講演の終盤近くになって、「ここだけ内緒の話ですけど」と前置きして「2年前の9月18日、国会前にいたんです」と切り出した。 前川氏は「集団的自衛権を認めるという解釈は成り立たない。立憲主義に反する」と述べ、安保法制が参議院で成立した日だったから
「一定の区切りをつけることができると判断した」。安倍晋三首相は10日、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣している自衛隊施設部隊の撤収方針を表明した。現地の治安情勢は悪化の一途をたどり、派遣部隊による「日報」問題が国会審議でくすぶり続ける中、政権はあくまで部隊活動の節目を強調している。 「派遣開始からもう5年も経った。いつまでも派遣し続けるということにはならない」。自衛隊の南スーダンPKO派遣をめぐり、安倍首相は最近、周囲にこう漏らした。 きっかけは昨年7月、首都ジュバで起きた大規模衝突だった。当時は国際協力機構(JICA)やNGOの職員らが現地に残っており、自衛隊だけ先に撤収させるわけにはいかないとの理由で撤収は見送られたが、政府内では「どこかで出口を見つけなければいけない」(防衛省幹部)との議論が浮上。菅義偉官房長官もこの日の会見で「昨年9月ごろから今後のあり方をどうすべきかと
安保法制をめぐる憲法学者の違憲論の検証――『集団的自衛権の思想史――憲法九条と日米安保』は何を論じたのか 篠田英朗 国際政治学 政治 #安保法制#集団的自衛権の思想史 安保法制をめぐるあの暑い夏から1年。違憲訴訟や廃止法案上程の動きがある中で、現実に南スーダンに派遣するPKO部隊の任務範囲をどうするのかが問題となっています。安全保障に関する議論が第2ラウンドを迎えようとしていると言えるでしょう。第2ラウンドだからこそ、新たな次元で、より深く、より広い議論にしなければなりません。本書『集団的自衛権の思想史』は、そこに大きな一石を投ずるものとなるでしょう。 著者の篠田英朗氏は、平和構築論を専攻する気鋭の国際政治学者(東京外国語大学教授)です。以下では著者自身に内容の一部を紹介して頂きます。(風行社編集部) 安保法制の成立をめぐる喧騒は過ぎ去った、という雰囲気が今や各方面に蔓延している。参議院選
エキスパート・コメント一覧に戻る 国際法学会エキスパート・コメント No.2016-4 国際法上の集団的自衛権 森 肇志 (東京大学大学院法学政治学研究科教授) 脱稿日:2016年8月27日 1.はじめに いわゆる平和安全法制(新安保法制)が、2016年3月29日に施行されました。2014年7月1日の閣議決定以降、とりわけ2015年の春から夏にかけての国会内外での論戦は記憶に新しいところです。そこで中心的に問題となったのは、平和安全法制によって日本が集団的自衛権を行使できるようにすることは日本国憲法上許されるのか、という点でした。 この問題の重要性は言うまでもありませんが1)、そもそも集団的自衛権というのは国際法上国家が有する権利です。日本の場合、国際法上有している集団的自衛権について、憲法によってそれを行使できないと解釈してきたところ、今回の平和安全法制において、その一部に限って行使でき
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3日、国会内で開かれた防衛会議。奥中央はあいさつする中谷防衛相 集団的自衛権行使を含み、今年3月施行される安全保障関連法を初めて全面的に反映させる自衛隊最高レベルの作戦計画策定に当たり、防衛省内で制服組自衛官を中心とする統合幕僚監部が、背広組防衛官僚が中心の内部部局(内局)に権限の大幅移譲を要求していることが21日、複数の防衛省・自衛隊関係者の証言で分かった。内局は拒否、調整が続いている。 昨年6月の改正防衛省設置法成立で防衛省は、防衛官僚が自衛官より優位な立場から大臣を補佐する「文官統制」制度を全廃、内局と統幕が対等になった。統幕の要求が認められれば、軍事専門家である制服組主導となる可能性もあり、危惧する声は多い。
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