外国首脳の演説に関して言えば、安倍晋三首相のそれは興奮を呼ぶほどではなかった。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は演説の1段落ごとに、安倍氏の演説全体よりも多くの拍手喝采を浴びた。だが、安倍氏の目標の方が成功する確率が高い。 安倍氏の演説――日本の指導者が米議会上下両院合同会議で演説したのは、これが初めて――には、2つの明確な狙いがあった。 1つは米国のアジアへの軍事的リバランスを激賞すること。2つ目は環太平洋経済連携協定(TPP)締結の可能性を高めることだ。 安倍氏が語ったことから判断すると、軍事的な側面の方が大きな前進を遂げている。同氏はバラク・オバマ大統領の「アジアへのピボット」に対して、アジアの指導者としては最も力強い支持を表明した。 貿易障壁撤廃の約束を期待していた米議員は失望 安倍氏は「中国」や「封じ込め」といった言葉を使わなかったが、台頭する中国に対する日米のヘッジを強化