WTO紛争処理小委員会(パネル、注1)は4月5日、ロシアが2016年以降にウクライナ製品が自国領を通過するに当たって課しているトランジット(通過運送)制限措置に関して、GATT(注2)21条「安全保障のための例外」に照らし、制限が妥当と判断した。WTOにおいて、GATT21条が適用されたのは初めて。 本紛争は、ロシアとウクライナで争っているもの。紛争の元となった制限措置は、2016年1月1日付ロシア大統領令第1号および連邦政府決定第1号(2016年1月1日付)。本措置は、ウクライナとEUとの間の自由貿易協定(FTA)発効(2017年9月14日記事参照)への対処を目的としたもので、ウクライナからロシア領内を通過してカザフスタン、キルギスへ、自動車もしくは鉄道によるトランジット輸送を行う際、ベラルーシを経由し、かつ、グロナス(注3)技術を搭載した自動車・鉄道による封印識別した場合のみ許可される