リオデジャネイロ五輪の開幕まであと5カ月あまりに迫る中、ロシア陸上界の組織的なドーピング疑惑をめぐって、新たなスキャンダルが発覚した。2月中旬、同国の反ドーピング機関(RUSADA)のニキータ・カマエフ前最高責任者(52)が死亡したその約一週間後、英国のサンデー・タイムズが、カマエフ氏がロシアのドーピング汚染にまつわる暴露本を執筆しようとしていたとのスクープを報じたのである。これまでも国家に歯向く“裏切り者”が相次いで不審な死を遂げてきたロシア。ドーピング問題の渦中にいたカマエフ氏の身にいったい何が起きていたのか? (佐々木正明) ■死人に口なし カマエフ氏の死亡は、推理小説を地で行くようなストーリーだ。 カマエフ氏がトップを務めていたRUSADAは世界反ドーピング機関(WADA)から「不適格な組織」と認定された。組織の刷新を図るために更迭されたカマエフ氏は2月14日、モスクワ近郊の