シリーズ「クルド人の風景」では、日本で報道が少ないクルド地域について、毎月専門家がやさしく解説していきます。(協力:クルド問題研究会) トルコでクルド系政党というと、昨年の2度の選挙で10%以上の得票率を獲得し、大国民議会で議席を得た人民民主党(HDP)を思い出される方も多いのではないだろうか。 トルコのクルド系政党は1990年(1990年6月に人民労働党が設立)に初めて立ち上げられ、その後、解党と結党を繰り返してきた。クルド政党ではなく、クルド系政党と呼ぶのは、クルド人が中心であるが、クルド人以外の議員や支持者も含まれるためである。 トルコの選挙における特徴の1つに、総選挙で10%以上の得票率を獲得できない政党は議席を得ることができないという足切り条項がある。この足切り条項のため、2015年の2度の選挙に至るまで、クルド系の政党は独立候補として選挙に参加し、選挙後に再結成するという戦略を