タイの軍事政権が国民と良好な関係を築くための1つ目の教訓を見いだすのに、長い時間はかからなかった。迷った時はカネを使え、という教えだ。 プラユット・チャンオチャ将軍が率いる軍事政権「国家平和秩序評議会(NCPO)」は、発足から1カ月の間、精力的に国庫のカネを放出してきた。 NCPOは退陣に追い込まれたインラック・チナワット政権が導入した助成金制度に基づき、924億バーツ(28億ドル)近いカネをコメ農家に支払った。そして現在、720億ドルを超えると見られる大掛かりな交通輸送構想を検討中だ。 NCPOは、タイ投資委員会(BOI)――プラユット氏は自らを委員長に任命した――の承認待ちとなっている210億ドルに上るプロジェクトの推進も約束した。6月18日に行われたクーデター後初のBOIの会議では、総額40億ドルに相当する18のプロジェクトが承認された。 経済的ポピュリズムの上に成り立っていた政権を