多重危機に見舞われている欧州。もしユーロ圏の大国で極端な政治思想を持つ指導者が政権を握ったら、どうなるか・・・ (c) Can Stock Photo ジョン・ワイツによるヒャルマール・シャハトの伝記『Hitler’s Banker(邦訳:ヒトラーを支えた銀行家)』を読み返したら、これまで筆者が考えていなかった1930年代と現在の興味深い共通点に気づいた。 ヒトラーが再軍備計画の資金を賄うために、配下の中央銀行総裁だったシャハトに頼ったことは、よく知られている。 だが、ワイツは――そしてここが今日のユーロ圏に潜在的に関係するところだが――、シャハトがライヒスバンク(ドイツ帝国銀行)で非伝統的な政策を追求できたのは、ひとえに独裁者の後ろ盾があったからだとも指摘している。 例えばイタリアやフランスなど、ユーロ圏に属する大国で極端な思想を持つ指導者が権力を握り、もし彼らがシャハトの才覚を持った中