1945年7月30日、「戦後」のフランスに生まれたモディアノだが、30を超える言語に翻訳されているその作品の多くが描くのは、ナチスドイツ占領下のフランス人の生活。名監督と共同でシナリオを書いた2本の映画もそんな作品である。 『死刑台のエレベーター』(1958)などで知られるヌーヴェルヴァーグの旗手ルイ・マル監督の『ルシアンの青春』(1974)の主人公は、レジスタンス運動に加わろうとして拒絶され、ゲシュタポの手先となる青年。 ジャンゴ・ラインハルトの物哀しいギターの調べが印象的なこの一篇で、英国アカデミー賞(BAFTA Awards)脚本賞にもノミネートされた。